<日本プロゴルフ選手権 センコーグループカップ 事前情報◇20日◇蒲生ゴルフ倶楽部(滋賀県)◇6991ヤード・パー72>
昨年のこの大会でツアー初優勝を果たした27歳の清水大成。300ヤード超の飛距離を武器に“攻めのゴルフ”で成長を続けているが、今年は決意を持ってシーズンに臨んでいる。
新たな取り組みを行っている。今季の自身初戦となったアジアと豪州ツアーの共催大会「ニュージーランドオープン」(2月26~3月1日)。この時に取材した際、クラブを握る手元を見ると、右手の小指と左手の人さし指が絡むインターロッキングを採用していた。
清水大成といえば時松源藏と同門で、ベースボールグリップが代名詞だった。時松は「僕は曲がらないけど、飛ばないベースボール。大成はきれいな握りで飛ぶベースボールグリップです」とうらやむ。ジュニア時代からベースボールグリップで活躍し、日大時代の2017年には「日本学生」のタイトルを獲得している。
プロ入り後も2020-21年シーズンのルーキーイヤーで初シードを獲得すると、24年には未勝利ながら賞金ランキング8位に入った。そしてプロ6年目の昨年、「日本プロ」というビッグタイトルで待望のツアー初優勝を遂げた。
順風満帆のキャリアを歩んでいるように見えるが、「ショットの安定感が本当になくて…」と自身では課題を抱えていた。「自分ではいいスイングをしているつもりでも、突発的に変な球が出ることがあって。もっとよくするには、変えるしかないかなと」。内藤雄士コーチに師事してスイングの基礎から見つめ直し、精度は高まってきたが、突然出るミスショットをなくすためにこのオフに握り方を変えた。年間複数回優勝、世界の舞台で戦うために。
プロゴルファーが握り方を変えるのは、相当な覚悟が必要だ。時松はインターロッキングにすると「当たらない」と自虐的に話すほど、握り方の変化は大きい。それでも、さらに上のステージに行くために清水は決意した。ニュージーランドでは、狭いホールやハザードが絡むホールでも「成功体験を得るために」と積極的にドライバーを握り、グリップをなじませることに注力した。
4月に発症した左手首のTFCC損傷(尺骨側手関節三角線維軟骨複合体損傷)の影響で、先週の「関西オープン」が国内初戦となった。「コースであまり練習できなかった」と調整は十分ではなかったが、コースでは「ヘッドが走る」とドライバーもアイアンも飛距離が伸びていることを感じた。
「あらためてベースボールグリップで握ると、右手を強く握っていると感じました。両手をしっかり握るから日によって感覚が変わるのかなと。インターロッキングでは、左手をしっかり握って、右手は力を抜こうとしています。だからヘッドが走るのかもですね。感触はすごくいいです」と左手を重視することで安定感が高まりながら、ヘッドが加速するという。
左の肩甲骨周辺の動きが悪く、ボールをつかまえる動きの負担が手首に来て発症したというTFCC損傷。当初は全治2~3カ月と言われたが、賢明な治療と体作りで早めの戦線復帰。「(連覇がかかる)日本プロや(翌週の)全米オープン予選、ツアー選手権と大きな大会が続きます。それがなければもう少しゆっくりしたほうがいいと思うんですけど」。大きなタイトルや世界に通じる試合が続くことで、覚悟を持って復帰している。
大会連覇がかかる今週はまだ2戦目。実戦のなかで感触を確かめながらになるが、新たなグリップでタイトルをつかみにいく。(文・小高拓)
