<日本プロゴルフ選手権 センコーグループカップ 事前情報◇21日◇蒲生ゴルフ倶楽部(滋賀県)◇6991ヤード・パー72>
“日本一の男子プロ”決定戦が21日に開幕する。大会2勝を誇り、ツアー通算31勝の永久シード保持者・片山晋呉は、今年で23回目の出場。53歳となった今も、その存在感は色あせない。
片山は、この大会を含め国内メジャーでは7勝を挙げている。昨年はケガの影響で出場できず、2年ぶりの参戦となるが、「やっぱり、メジャーっていいですよね。(優勝回数を)持てば、持つほど重みもわかるし、うれしさも倍になる」と大舞台への想いを明かし、舞台に立てる喜びをかみしめた。
舞台となる滋賀県の蒲生ゴルフ倶楽部は、初めてプレーする。全長は7000ヤードを切る短めの設定ながら、ティショットの落としどころにはバンカーや木が配置され、フェアウェイもタイト。さらにラフは約100ミリとボールがすっぽり埋まるほど深い。ラフからはウェッジでもボールを止めるのが難しく、単純な飛距離勝負にはならず、フェアウェイキープが鍵を握る。
「全体的に距離は短いけど、いまはパワーゲームの時代。飛ぶ人が有利と言われる中で、こういうコースがあるのはとてもいいと思います」と印象を明かした。
「こういうセッティングにしてくれてうれしいですし、こういう試合が増えて、再来年までやるということだから、1回ぐらい(優勝の)チャンスが来ないかなと思って。(年齢的に)もうそろそろだから。60歳になってから優勝争いは少し厳しい。でもあと7回。7年間ぐらい出ている中のどこかのレギュラーツアーで優勝争いをしたい」。静かな言葉の中に、強い闘志がにじむ。
勝つための努力と研究を惜しまない姿勢は健在。ラウンド中でもスイングの確認を怠らず、こまめにストレッチを行うなど、常にコンディションを整える。ショットだけでなく、ショートゲームへの探求も尽きることはない。
先週の国内シニアツアー「リョーマゴルフ 日高村オープン」では、初日と最終日でパターの握り方を変えていた。試合では数本のパターを持参しているが、同大会では一般的な長さのパターを使い、右手でグリップ上部を握り、左手で軽く押さえる“逆クロウグリップ”で握っていた。最終日には左手の位置をシャフトに触れる位置に移すなど、細かな調整をしていた。
そして今週は長尺パターにスイッチ。先週の最終日のような手の位置で握ったり、グリップを左腕に当てて固定する打ち方も試す。「準備していました。ここ(今週)のために。短いパターで、だいぶ感性が出てきたから。自分の感性と、(その感性を)ころすのと、いろいろミックスしたらどれがいいのかな。みたいな」と、先週の取り組みが今週への布石だったことを明かした。
短いパターで打っているときは、長尺パターの「感覚をだしたいとき」に行う一つの手段として取り入れているという。最初は両手の間隔を近づけて握り、そこから徐々に間隔を広げていくことで、フィーリングを調整していく取り組みだ。
練習グリーンでは、オープンスタンスでボールを右足寄りに置くなど、さまざまな構えやストロークを試行。最適解を求めて、入念な調整を続けている。通算31勝の実力者もメジャーという“大舞台”へ向けた準備に余念はない。初日にどのスタイルを選択するのかも注目される。
そんな片山にとって、今季を戦えていること自体が大きな喜びでもある。実は、昨年6月に腰痛を発症し、椎間板に細菌が感染する化膿性椎間板炎と診断された。治療のため約2カ月間入院し、コースに復帰できたのは10月。11月の国内シニアツアー最終戦「いわさき白露シニア」に出場したが、最終日スタート前に椎間板に痛みが発症し棄権した。
そして今年4月の開幕戦「ユニテックスシニアオープン」で復帰を果たし、先週のリョーマゴルフ 日高村オープンでは優勝争いを演じ、惜しくも2位で終えている。優勝を逃した悔しさ以上に、「しびれる時間にまた戻れたことが幸せ」と安どの表情を見せる。病室で過ごした日々を思えば、優勝争いの緊張感すら愛おしい。
現在も再発のリスクと向き合いながらの戦いが続く。ドライバーショットは基本的に抑えたスイングで、「しっかり振るのは1日3回くらいまで」と医師から指示されているという。それでも要所では力強い一打を見せ、勝負に挑む。
持病と向き合いながら臨むシーズン。今季メジャー初戦は「楽しみ。新しく帰ってきた自分がどうなるのか、楽しみにやりたいと思います」と笑顔を浮かべた。53歳の奮闘に、目が離せない。(文・高木彩音)
