<Sky RKBレディスクラシック 最終日◇17日◇福岡雷山ゴルフ倶楽部(福岡県)◇6490ヤード・パー72>
201ストローク目の短いウィニングパットが、3日間で最もしびれる一打だった。1打差の逃げ切りV。プレー中ずっとかけていたサングラスを初めて外した桑木志帆は満面の笑みを浮かべ、2024年の最終戦「JLPGAツアー選手権 リコーカップ」以来、1年半ぶりの優勝を心から喜んだ。
「めちゃくちゃうれしいです。ずっと勝てていなかったけど、成長していることは分かっていた。最後のパットはすごく緊張したけれど、やっと形になった。今は安心しています」
優勝すれば、5月25日時点の世界ランキング75位以内に与えられる資格で、海外メジャー「全米女子オープン」(6月4日開幕、リビエラCC/カリフォルニア州)に出場できると信じて福岡にやって来た。
「1日5アンダーで回って、トータル15アンダーなら優勝できるかも」。開幕前の青写真を忠実に実践した。初日「68」、2日目「66」、そして最終日は6バーディ・1ボギーの「67」。目標をしっかり達成し、大会前に79位だった世界ランクも“全米当確ライン”を余裕で突破することが確実だ。
「目標を設定して、それをクリアできたのは初めて。そこもうれしいです」
スコアの伸ばし方もイメージ通りだった。3日間のフェアウェイキープ率はフィールド1位の90.5%。安定したドライバーショットを武器にチャンスをお膳立てした。
アウトは3日間で13バーディ・1ボギー、インは5バーディ・2ボギー。この日もグリーン奥からチップインした2番パー5から3連続バーディを奪うなど、アウトで4つ伸ばした。イメージが出にくいインは耐えて、チャンスを待つマネジメントだった。
10番で2.3メートルを沈めてバーディを奪った時点で4打あったリードは、最後は1打まで減ったが、浮き足立つことなく18ホールを完走できた。
昨年は海外メジャー3試合に出場した。初挑戦だった全米は56位で終えたが、「KPMG全米女子プロ」と「AIG女子オープン」(全英)は予選落ち。「日本でも予選落ちしたらいつも泣いているけど、去年はいっぱい泣きました。帰りの車の中、ホテルとかで…。1打足りなかったKPMGはギャン泣きでした」。
雪辱を期すメジャーの大舞台。「回ってみたかった」という名門・リビエラCCでの全米で、まずは進化の爪痕をしっかりと残してくるつもりだ。
リコーカップで国内メジャー初制覇を達成した24年のオフに、体重が大幅に増えた。「さすがにこれはヤバいと思った」。SNSには心ない書き込みもあった。一念発起のダイエットを開始。アプリで体重を徹底管理し、栄養バランスも考えた。
「1日3食はしっかり食べるけど、食べるものを意識して変えました。揚げもの、油ものは摂らない。ジュースは飲まない。コーヒーはブラック。お菓子は食べない」。1年をかけたスリム化計画で、約10キロの減量に成功。「疲れなくなった。体の切れも増しました」と、長丁場のツアーを戦い抜く強さを身につけた。
昨年は近い将来の米ツアー挑戦を表明したこともあったが、その夢は一時封印する。「新しい選手がどんどん出てくるし、先輩プロもしっかり上位に食い込んでくる。自分も常に上位で戦えるプレーがしたい。米ツアーのことは忘れていました。今は国内で年間女王を目指します」。目標を修正し、狙うは女王のタイトル。これまでの大会記録を1打更新して今季初Vを果たした23歳が、今季10戦目でようやくお目覚めだ。(文・臼杵孝志)
