<宮里藍 サントリーレディス 初日◇6日◇六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県)◇ 6545ヤード・パー72>
1998年度生まれの黄金世代の一人、大里桃子が1イーグル・5バーディ、ボギーなしの今季自己ベスト「65」で回り、2位と絶好のスタートを切った。初日の一桁順位は同じく2位だった3月の「Vポイント✕ENEOS」以来、今季2度目で、砲台グリーンの4番パー5では残り62ヤードの3打目が直接カップインする今季初イーグルも奪取。「入ったのは全然見えなかったけど、ギャラリーさんの声でわかった。うまいこと打てました」と喜んだ。
昨季はメルセデス・ランキング86位に沈み、ツアー2年目の2019年から4季守ってきたシードを失った。QTランク5位の資格で出場する今季も4月までは5度の予選落ちと低空飛行が続いていた。潮目が変わったのは5月初旬の国内メジャー初戦「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」。外せば予選落ちだった第2ラウンドの最終ホールで5メートルのバーディパットを決めてからだった。
「劇的なやつがあって予選を通ってから、すごく自信がついた。あのときは、なぜか外れる気はしなかった。あの試合あたりから試行錯誤しながら、今って感じです。ショットの調子は悪くなかったし、かみ合えばと思っていた。きょうはパットの距離感がすごく良かった」
15位に入ったサロンパスカップからは5試合連続で予選を通過している。2週前の「リゾートトラストレディス」は今季初のトップ10となる8位となり、「今はゴルフが楽しい」と勇んで臨んだ前週の「ヨネックスレディス」では同い年の新垣比菜の6年ぶりの復活Vにパワーをもらった。「小学生のころから知っている」と切磋琢磨してきたライバルの涙に「うるっときた」ともらい泣き。米国では同じ黄金世代の渋野日向子が「全米女子オープン」で復活のノロシを上げる2位となり、「今年は同世代のみんなが活躍している。私も頑張らないと」と3年ぶりとなるツアー3勝目をしっかり見据えた。
最近は2001年度生まれの山下美夢有、02年度生まれの岩井姉妹、03年度生まれの竹田麗央ら年下の世代に主役の座を譲ることが多かったが、今季は大里が熱く語るように黄金世代が盛り上がっている。昨季は4勝に終わったが、今季は小祝さくら、臼井麗香、天本ハルカ、そして新垣が各1勝と早くも優勝回数は並んだ。さらに開幕から前週までの14試合でトップ10入りは一度も外したことはない。
今大会も単独首位に立った小祝、2位の大里、4位の高橋彩華ら5人が初日を10位以内で滑り出した。ツアー未勝利の山路晶は「68」で回り、今季自己最高の6位スタート。予選落ちした前週は新垣の優勝をネット中継で見届け、「一人で大号泣しました。私も勝ちたいと改めて思った。きょうのスコアは先週の感動のおかげ」と初Vへの思いを強くした。高橋も「流れに乗りたい。やっぱり下の世代には負けたくないです」と気合十分だ。
黄金世代は88年のツアー制度施行前も含め、世代別では最多の15人が優勝を果たし、これまで47勝を積み上げてきた。小休止は昨年で終了。今年は輝きを増した黄金世代がツアーを盛り上げていく。(文・臼杵孝志)