<すまいーだカップ シニアゴルフトーナメント 初日◇16日◇イーストウッドカントリークラブ(栃木県)◇6867ヤード・パー72>
賞金ランキング37位(414万5061円)から、残り2戦で同30位以内のシード権を目指す矢澤直樹。今大会での初日、1イーグル・3バーディ・ボギーなしの「67」で回り、5アンダー・2位タイの好発進を決めた。
「セカンドショットはピンまで230ヤードくらい。本当は5番ウッドで打ちたかったんですけど。今回はパターを2本入れているので、5番ウッドを抜いちゃったんですよ。しょうがないから3番ウッドでフェースを開いて、どスライスをかけた球が乗ってくれて、段の下だったんですけど入っちゃいました」。矢澤はそう8番パー5のイーグルを振り返る。いや、ちょっと待って。そもそも何でパターを2本入れたの?
「そこは触れてほしくないところなんですよね…。イップスが原因でずっと長尺を使っていたんですけど、それも入らないから、今回試してみようかなと思って持ってきたんです」。そう言って矢澤が見せてくれたのは、1980年代に発売されたテーラーメイドのL字型パター『TPA-18』。かつてニック・ファルド(イングランド)が使用して世界的に大ヒットしたモデルだ。
これは矢澤が98年のプロテストに合格したとき、使っていたパターでもある。その実物は「メンバーさんが欲しいというのであげちゃった」のだが、「何かいい感覚を思い出すかなと思って」、メルカリで再び手に入れた。「長尺は距離感が合わなくて3パットが割と多かった。L字のほうが距離感は合いますね」と好感触を得て試合で投入。もともと使っていた長尺も「すぐに使えるように」とバッグにイン。試合では初めてパターを2本入れた。
実際に18ホール回ったところ「割と出ました。イップスを思い出しただけでした」と、お守り代わりに入れていた長尺に手を伸ばそうとする場面もあった。しかし、「我慢して、きょうは使わなかった」とL字型パター1本で18ホールをプレー。2日目以降も「5番ウッドを抜いて長尺は入れていきます」とパター2本体制を続ける考えだ。2日目は初日とは打って変わって雨の中でのプレーとなる。矢澤の選択は吉と出るだろうか。(文・下村耕平)