<すまいーだカップ シニアゴルフトーナメント 事前情報◇15日◇イーストウッドカントリークラブ(栃木県)◇6867ヤード・パー72>
今年の国内シニアツアーは残り2戦。今日から3日間の日程で開催される「すまいーだカップ シニアゴルフトーナメント」と、次週の最終戦「いわさき白露シニアゴルフトーナメント」だけとなった。
賞金王争いも佳境を迎えている。9月の「日本シニアオープン」を制した賞金ランキング3位の藤田寛之と、トップを走る宮本勝昌との差は約853万円差。宮本は今週、レギュラーツアーの「ダンロップフェニックス」に出場しているため、藤田が今大会で優勝して1000万円を手にすれば、首位が入れ替わる。
「トップにこだわりはないんですけど、レギュラーツアーで1回賞金王を獲っているので、両方獲れるんだったら、良い勲章になるんだろうなというのはあります。簡単ではないでしょうし、まずは今週しっかり上位に入っていかないといけないだろうなと」。2012年に43歳でレギュラーツアーの賞金王に輝いている藤田。これまでにレギュラー、シニア両ツアーで賞金王を獲ったのは、飯合肇、尾崎直道の2人しかいない偉業でもある。
ただ、賞金王を争うのは芹澤信雄を師匠とするチーム・セリザワの仲間として長年一緒に技術を磨いてきた宮本とあって、心境はちょっと複雑だ。「同門なので、何かあんまり現実的でないというか…」。さらに、「飛距離も出るし、かなりいいプレーをしていて、普通にやったら勝てる雰囲気ではない」とも感じている。近くで見てきただけあって、宮本のゴルフがシニアレベルでないことも理解している。
そういうなかで「ゴルフだからシニアオープンのときみたいに、どっちが勝つ、勝たないはわからない」とも。日本シニアオープンでは3日目を終えて宮本がトップに立っていたが、最終日に混戦を抜け出して勝ったのは藤田の方だった。今大会は予選落ちのない3日間大会のため、宮本不在の間に、藤田が差をつめるのは確実。どちらにしても、宮本が参戦する次週の最終戦で賞金王が決まる。
また、藤田はレギュラーツアーの来季出場権をかけて、富士カントリー可児クラブで行われるサードQT(11月28日~12月1日)にエントリーしている。シードを失ったのは2021年の52歳の時。翌22年は『生涯獲得賞金25位以内』の資格で出場したがシード返り咲きならず。同年末、26年ぶりに出場したQTでは、QTランキング57位でレギュラーの出場権をつかむことはできなかった。レギュラーで通算18勝を挙げて、賞金王にまで登りつめた男が、シニアに入っても順調なキャリアを歩んでいるいま、なぜレギュラーにこだわり続けるのか。
「自分の中では2つ理由があるんです。1つは芹澤さんが『レギュラーに来て刺激を受けていないと、自分のゴルフが老け込んじゃうよ』とよくおっしゃっていて、それがやっぱり耳に残っている。もう1つは来年もレギュラーに出たいんですよ。例年通してではなく推薦だけでもいいから。プロとして自分のポジションがそこにあるから、当然だと思うんです」
藤田が言いたいのは、来年、推薦を受けてレギュラーに出るにしても、QTという手順を踏んで、レギュラーに出場する“意思”を示したいということ。QTも受けず、ただ昔の実績だけで推薦をもらうのは嫌なのだ。それも、「今年が最後かもしれない。タイムリミットは自分のなかできている」と、レギュラーのQT挑戦にも限界を感じている。今季はレギュラーツアー6試合に出場して、予選通過は2回。4月末の「中日クラウンズ」の26位タイが最高成績だった。
その上で藤田の最大目標は海外シニアメジャーに出ること。「自分は4位に入ること。今年行って良かったし、来年も行きたいんですよ」。シニアツアーで賞金ランキング4位以内に入れば、来年の海外シニアメジャー「全米プロシニア」と「全米シニアオープン」の出場権、同10位以内の上位2名には「全英シニアオープン」の出場権が手に入る。
昨年はシニアで賞金ランキング2位に入り、今年の「全米プロシニア」、「全米シニアオープン」、「全英シニアオープン」の3試合に出場。いずれも予選ラウンドを突破し4日間を戦い抜いた。藤田にとって、その賞金ランキング4位を死守する残り2試合となる。(文・下村耕平)