<TOTOジャパンクラシック 2日目◇1日◇瀬田ゴルフコース 北コース(滋賀県)◇6616ヤード・パー72>
ひときわギャラリーの目を惹き、ファンを虜にさせている選手がいる。ナタリア・グセバ。知る人ぞ知る、若手の米ツアーメンバーだ。西郷真央や吉田優利が突破した昨年の「Qスクール」を23位で通過し、ルーキーとして戦っている。
2003年3月6日生まれの21歳は、10歳のときにゴルフを始めた。ジュニア時代から国際大会で活躍すると、米フロリダ州のマイアミ大学に進んだ。23年からは米下部エプソン・ツアーに参戦。1勝を挙げるも賞金ランキングは14位でレギュラーツアーに“昇格”とはならなかったが、同年12月のQスクールを突破して米ツアーメンバー入り。同時に欧州女子ツアーのQTも受け、それはトップで通過した。
日本を訪れるのは「初めて」だが、大学のときから日本に興味があった。「実は、自分のコーチがパティ・リゾなの。日本で何度も優勝経験があって、日本のことはよく聞いていたのでそこでプレーをしてみたいと思っていた。彼女が日本をすごく好きということは、もちろん、わたしも日本が大好きということ(笑)。いい思い出を作りたいね」。
リゾは岡本綾子と親交の深い、米国出身のレジェンド選手。米ツアーでは4勝、日本ツアーでは9勝を飾っている。すでにマイアミ大のヘッドコーチを退いているが、「いまはツアーを一緒に転戦してくれたりしている」という師弟関係。ただ、今週については「休みを取っていて、ここにはいないんだけどね(笑)」というが、「彼女はすごい選手。新人賞も取っているし、JLPGAでは複数回優勝をしている。そういうコーチに出会えていることが幸せ」と笑顔を見せた。
「最初は自分に期待はしていなかったけれど、いまは優勝したいと思っている」と充実したルーキーイヤーを過ごしている。ルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)争いではトップを走る西郷に後れを取っているが、ポイントランキングは現在ルーキーで5位、全体でも51位。来年のシード権獲得を当確させ、世界ランキングも右肩上がり。「このままいい状態のゴルフを続けられればいいと思うけれど、いまは一瞬一瞬を楽しんでいる」と世界中を転戦している。
公称175センチのすらりとした姿に、可愛らしい笑顔。そしてドライビングディスタンスが274.36ヤードで全体9位という飛ばし屋というプレースタイル。日本のギャラリーも『あの子は誰だ?』と、一目見たら思わず虜だ。
「センキュー! 女子ゴルフをサポートしてくれて素晴らしい。テレビだとPGAツアーのほうが活躍していると思うかもしれないけれど、日本の方はPGAツアーとLPGAの両方を応援してくれる。ありがたいし、いいプレーを見せたいね」。ぜひ、顔と名前を覚えたい。(文・笠井あかり)