<NOBUTA GROUP マスターズGCレディース 3日目◇19日◇マスターズゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6506ヤード・パー72>
ある意味、魅せるゴルフで岩井明愛がギャラリーを沸かせた。ワクワク、ハラハラ、そしてドキドキ。終盤4ホールはまさに「ギャラリーを楽しませたい」が口癖の岩井ツインズの姉の真骨頂ともいえるプレーの連続だった。
「いやぁ~、大変でした」。苦笑いで振り返った“明愛劇場”はパー5の15番で奪取した圧巻イーグルで幕を開けた。残り225ヤードを5番ウッドでピン手前1.5メートルに2オンし、難なく奪った今季5個目のイーグル。だが、直後に待っていたのは“池ポチャ”だった。
16番はティショットが左サイドの池にダイレクトで飛び込んだ。ドロップゾーンからラフを渡り歩いて、5オン1パットのダブルボギー。「絶対に入れようと思った」と2メートルを1パットで沈めてトリプルボギーは何とか回避したが、続くパー3の17番もティショットをグリーン手前のラフに入れてスコアを落とした。
この時点で首位の座から陥落。それでも、最終18番は残り139ヤードの2打目をピン右2メートルにつけてのバーディ締めで、イ・ミニョン(韓国)と並ぶトータル13アンダーで首位に返り咲いた。
「いいところも、悪いところもあったけど、全部含めて楽しかった。16番のティショットがもったいなかったけど、自分は楽観的なので、引きずることはなかったですね。イヤなことはすぐ忘れるんです」
イーグル直後のダブルボギー。ショックは小さくないはずだ。しかも、首位争いの渦中。それでも、やったことは仕方ないと割り切ることができるポジティブさが、今季すでに3勝を挙げている22歳の最大の強みだ。「性格的なものだと思います。忘れようと思って忘れるわけではなく、気持ちは次に向いています」。フェアウェイをとらえたティショットから2打目、パットとすべてが完璧だった18番のバーディはまさに、その証明だった。
初Vから3勝を挙げた昨季は、9月にともに初日からの首位を守る完全Vで2週連続を果たしたが、今季の3勝はすべて逆転勝ちだった。首位で最終日を迎えるのは4月の「KKT杯バンテリンレディス」以来だが、そのときは最終日に「77」と崩れた。同じ轍を踏むつもりはない。
「あすはやっぱりティショットが一番大事になってくると思います」。メルセデス・ランキング1位の竹田麗央が予選落ちし、約1000pt差で3位につける明愛にとっては大きく差を縮める好機が到来。最終日はフェアウェイを闊歩(かっぽ)して、一等賞のゴールに飛び込む。(文・臼杵孝志)