青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太が、好調な選手や注目選手の強さのヒミツを解説、女子ツアーでの流行など現場からのホットな情報をお届けする。今回は最近の選手が欠かせない最新の“機械”について紹介する。
ブリヂストンレディスの練習場を見ていると、多くの選手が後ろにオレンジ色の四角いモノを置いたり、正面に箱型のモノを置いている。ともに弾道計測器でオレンジの四角は『トラックマン』で、箱型は『GCクワッド』。200万円以上の高額なものだが、プロがこぞって使う最新機器だ。
速すぎて肉眼では確認できないスイング軌道や入射角、インパクト時のフェースの向き、数値化してくれたり、ボールのスピン量や回転時、打ち出し角や落下角度なども視覚化してくれる優れモノ。
プロたちはどんな数字を見ているのだろうか。大西コーチが解説する。「まずはキャリーの距離ですね。画面にはキャリーとトータルの距離が表示されますが、プロはみんなキャリーの数字を見ています。番手ごとのキャリーの数字を知ることがスコアを出す一歩です」。コースの気候や気圧、その日の体調などによって数値は変わるが、プロたちは必ず毎週キャリーの数字を確認しているという。
「PGAツアーでは、みんな100ヤード以内は1ヤード単位で打ち分けていますし、そういう練習をしています。例えば『95ヤード打つ』と決めてからボールを打って、94ヤードだったり、94.5ヤード、95ヤードなどの数字が出ます。自分の感覚と実際の数字のズレをなくします。ひと昔前は5ヤード刻みで打ち分けていましたが、今は100ヤード以内は1ヤード刻みで打ち分ける時代がやってきましたね」。実際に、国内女子でもそうやって100ヤード以内の精度を上げたり、番手間の距離をコントロールする練習を行っている。
そして、次はボールスピン量。「スピン量とボールの高さは共通しています。落下角度も大きい方がグリーン上で止めやすくなります。スピン量や高さを知ることで、クラブ選びやマネジメントの仕方も変わってきます。打ち出し角に関してもドライバーなら14度前後など、ヘッドスピードによって適正は変わりますが、自分の理想を数値化してくれます。適正なスピン量になっているのか、確認することも大切です」。新製品が出てきたときは、これらの数字とにらめっこする選手や関係者は多い。
大西コーチが指導する安田祐香はトラックマンを愛用している。「私はドローヒッターなので、1~2度のインサイドアウトで、ややオープンフェースが理想です。連戦しているとその数値が変わりやすいモノです。ちょっとつかまりすぎると思ったり、理想的な弾道がでないときは数字と感覚を照らし合わせます」とかなり重宝している。
「毎週欠かさずチェックを行うことで、好不調の波を抑えられます」(大西コーチ)とまさに“人間ドッグ”のような役割を果たしている。
国内では10数年前に男子プロの数名が弾道計測器を使用していたが、いまは持つことが当たり前になった。「先行投資の意味で所持する選手もいますし、今の時代はプロの世界で活躍するための必須アイテムといえます。自分のスイングや弾道など数値化してくれるデータの時代。データと向き合わないといけない時代になってきているのだと思います」
最近は街中の練習場にも弾道計測器で数値をとれる場所が増えてきている。アマチュアもデータと向き合ってスイングを磨いたりクラブを選ぶことで上達の速度が上がり、好不調の波を抑えられるかもしれない。
■解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務め、24年からは安田祐香のコーチングも行っている。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。大西翔太プロデュースの練習器具「Sho_izm(ショーイズム)」シリーズ(朝日ゴルフより全国のゴルフショップにて販売中。豊富な知識を生かして、今年はテレビ解説も行うなど活躍の場を広げている。