「楽だし、簡単」の真意は? 池田勇太がL字型パターを使う理由
text by Kazuhiro Koyama
配信日時:2019年7月12日 04時00分
25年前のパターで難コースを貫禄優勝
「〜全英への道〜ミズノオープン」で優勝した池田勇太が、L字パターを使っていることが話題になっている。L字といっても、トゥヒールバランスになった『TPA XVIII』やオデッセイの『#9』の形状ではなく、クラシックな形状のL字型パターだ。
話題になるのも無理もない。このシンプルなブレードタイプのL字型は2000年代以降、発売されることが非常に少なくなってしまった。数少ない例外としては、当代随一のL字型パターの名手、フィル・ミケルソンのモデルとして、2010年に『PROTYPE 82』というL字型が限定発売されたことがある。
その流れで、オデッセイは2011年に『BLACKシリーズ』、2012年に『METAL-X』シリーズに『#8』というL字型を発売した。しかし、最近では、2017年に発売されたピンの『シグマG』シリーズに『TESS』というL字型がラインナップされていたくらいで、ここ10年の間でも発売されたモデルは数えるほどしかない。
市場にないので、シャープなL字型を使いたくても、手に入れることすら難しくなっているというのが現状だ。池田が使ったのは、25年前に発売されたブリヂストンの『ジャンボ尾崎90勝記念パター』。最早、ヴィンテージといってもいいこのパターを、池田はグリップを変えるなどの調整をして、使用している。
なぜ、ラインナップされなくなったのか。それは取りも直さず「難しい」からに他ならない。スイートエリアは狭く、打点のブレに弱い。フェースの開閉が起きやすいために、距離感や方向性が狂いやすい。2000年代は『2ボール』や『スパイダー』など、それまでになかった大型マレット型パターが、大流行した時代でもある。それらの直進性の高さに比べて、L字型はいかにも難しく、自然と敬遠されてきたのではないかと思う。
現在は、ツアープロの間でもクラシックなL字型を使用するプロはほぼ皆無だ。だからこそ、池田のL字型パター使用は衝撃的ですらあった。しかも、優勝までしてしまったのである。どうしてもその理由が知りたくて、なぜL字を使っているのか、本人に聞いてみた。
その答えは、「楽だし、簡単だよね。やさしいよ」というものだった。おおよそL字型パターへの評価としては、似つかわしくない言葉だ。慣性モーメントの大きな大型マレットは「やさしい」、シャープなL字型は「難しい」、それがゴルファーの常識だからだ。
池田のいう「やさしい」とはどういう意味だろうか。それは、自身の感覚をより繊細に出すことが出来るということではないか。ツアーでも卓越した感性の持ち主として知られる池田だけに、ボールの転がりを自在に操ることが出来、その感覚を表現出来るほうが、「やさしい」パターだと感じるのではないかと推測する。
ポケットキャビティアイアンよりもマッスルバックのほうがボールを曲げやすいように、大型マレットよりもL字型のほうが、より繊細なタッチを出しやすい。クラブに非常に造詣の深い池田が使用したことで、他のプロの中には、続いてL字型を使う選手が登場する可能性もあるだろう。
話題になるのも無理もない。このシンプルなブレードタイプのL字型は2000年代以降、発売されることが非常に少なくなってしまった。数少ない例外としては、当代随一のL字型パターの名手、フィル・ミケルソンのモデルとして、2010年に『PROTYPE 82』というL字型が限定発売されたことがある。
その流れで、オデッセイは2011年に『BLACKシリーズ』、2012年に『METAL-X』シリーズに『#8』というL字型を発売した。しかし、最近では、2017年に発売されたピンの『シグマG』シリーズに『TESS』というL字型がラインナップされていたくらいで、ここ10年の間でも発売されたモデルは数えるほどしかない。
市場にないので、シャープなL字型を使いたくても、手に入れることすら難しくなっているというのが現状だ。池田が使ったのは、25年前に発売されたブリヂストンの『ジャンボ尾崎90勝記念パター』。最早、ヴィンテージといってもいいこのパターを、池田はグリップを変えるなどの調整をして、使用している。
なぜ、ラインナップされなくなったのか。それは取りも直さず「難しい」からに他ならない。スイートエリアは狭く、打点のブレに弱い。フェースの開閉が起きやすいために、距離感や方向性が狂いやすい。2000年代は『2ボール』や『スパイダー』など、それまでになかった大型マレット型パターが、大流行した時代でもある。それらの直進性の高さに比べて、L字型はいかにも難しく、自然と敬遠されてきたのではないかと思う。
現在は、ツアープロの間でもクラシックなL字型を使用するプロはほぼ皆無だ。だからこそ、池田のL字型パター使用は衝撃的ですらあった。しかも、優勝までしてしまったのである。どうしてもその理由が知りたくて、なぜL字を使っているのか、本人に聞いてみた。
その答えは、「楽だし、簡単だよね。やさしいよ」というものだった。おおよそL字型パターへの評価としては、似つかわしくない言葉だ。慣性モーメントの大きな大型マレットは「やさしい」、シャープなL字型は「難しい」、それがゴルファーの常識だからだ。
池田のいう「やさしい」とはどういう意味だろうか。それは、自身の感覚をより繊細に出すことが出来るということではないか。ツアーでも卓越した感性の持ち主として知られる池田だけに、ボールの転がりを自在に操ることが出来、その感覚を表現出来るほうが、「やさしい」パターだと感じるのではないかと推測する。
ポケットキャビティアイアンよりもマッスルバックのほうがボールを曲げやすいように、大型マレットよりもL字型のほうが、より繊細なタッチを出しやすい。クラブに非常に造詣の深い池田が使用したことで、他のプロの中には、続いてL字型を使う選手が登場する可能性もあるだろう。