アマチュア向けクラブの代名詞として君臨するダンロップ『ゼクシオ』シリーズ。その14代目となる『ゼクシオ14アイアン』と『ゼクシオ14+アイアン』を試打経験豊富な海老原秀聡と、マイナビネクストヒロインツアーで活躍した菊地りおが試打し、その性能をチェックした。
2人が驚いたのはその打感。歴代の『ゼクシオ』といえば、チタンフェース特有の弾き感と金属的な打球音、そしてそこから生み出される圧倒的な高初速が大きな特徴だったが、『ゼクシオ14』はその打感に大きな変化があったというのだ。
「従来モデル以上の高初速なのに、フェースにボールが乗る感じがあるんです。もちろん弾き感はあるんですが、金属的な硬さが軽減されて弾道をコントロールできるフィーリング。いままでの“飛び系”とは一線を画すアイアンだと思います」(海老原)
「すごく飛んでいるのにフェースが弾きすぎなくて気持ちいいです。打感がやわらかいから力まずに振り抜けるし、これならラインも出せるし、タテの距離も合いやすいです」(菊地)
この秘密は、「ゼクシオ14」のフェースに搭載された新素材にある。
歴代の『ゼクシオ』シリーズのアイアンといえば、ストロングロフトとチタンフェースの組み合わせが生み出す高い飛距離性能が大きな特徴だった。その一方でヘッドの低・深重心化も追求し、高弾道による鋭角な落下角を確保。ただ飛ぶだけでなくちゃんとグリーンに止まる球が打てることでアマチュアにとってのやさしさを高水準で備えたアイアンとして進化を続けてきた。
最新『ゼクシオ14』も同様の設計コンセプトを継承しつつ、フェースに新素材を採用することによってさらなる進化を遂げた。
『ゼクシオ14』のフェースに使われているのは、ドライバーでも採用された『VR-チタン』という新素材。これはチタンにシリコンを配合したもので、従来のチタンよりも強度が42%アップするとともに粘り強さも向上しているためフェースのさらなる薄肉化が可能になる。
『ゼクシオ14』はこの『VR-チタン』によってフェースのトウ側を薄肉化した『ULTiFLEX』構造とするとともに、ヒール側のキャビティを拡大。さらにネックを細径化して大きな余剰重量を創出。そのぶんの重量を高比重タングステンウェイトとしてボディ下部に内蔵している。
また前部がやわらかくたわみ、剛性の高い後部がそれを受け止める『アイアン版リバウンドフレーム』が高いエネルギー効率を生むことで、前モデルを上回る高弾道・高初速を実現している。
「打感はやわらかくなりましたが、『ゼクシオ』シリーズの大きな魅力であるやさしさや飛距離性能は相変わらず高水準で、前モデルを上回っています。まず『ゼクシオ』らしい大きめのヘッドとグースネックは構えたときの安心感が抜群ですし、実際に打っても直進性の高い弾道でミスヒットしても曲がりません。とくに下めのミスヒットに強いので、薄めの当たりでもちゃんと距離が出てくれるのはアマチュアにとって本当に心強いと思います」(海老原)
「飛距離もすごいですが、球の高さに驚きました。ロフトが立っているのに高打ち出しで、球の落下角も鋭角。これならちゃんとキャリーの飛距離を確保しつつ、グリーンに球を止められます。とくに、プロのようにダウンブローに打ってスピンの入った球を打てないアマチュアの方にとっては、この高さは魅力的なはずです」(菊地)
既存の飛び系アイアンは、飛距離性能が高い反面、フェースが弾きすぎてコントロール性が低いことや、球が止まらずピンを狙う弾道を打ちにくいことが大きなネックだったが、『ゼクシオ14』はそういった既成概念を打破する、まさに“飛んで止まる”アイアンだった。
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兄弟モデルの『ゼクシオ14+』は、小さめのオフセットでトップラインも薄めのアスリートライクなモデルだ。
『ゼクシオ14』に迫る飛距離性能ややさしさを確保しつつ、よりシャープな顔のアイアンを求めるゴルファーがターゲット。試打した海老原は、ソールの抜けのよさを高く評価した。
「芝の上から打ったときのソールの抜けのよさは、小ぶりなキャビティに匹敵するほど。これは『スリクソン』シリーズ由来のこの『Vソール』の効果ですね。飛び系でこんなに抜けがいいアイアンは打ったことがありません。バウンス効果もあってダフリにくいし、悪いライにも対応できる。この飛び、このやさしさでこの抜けのよさは驚きました」(海老原)
一方で菊地が驚いたのは、顔と性能のギャップだという。
「グースも弱めですっきりした顔なのにすごく飛んでやさしい。ロフトは『ゼクシオ14』よりも0.5度寝ていますがフェースの弾きがよく、むしろ『ゼクシオ14』よりも飛ぶ感じ。海老原プロの言うようにソールの抜けもいいですし、このギャップが魅力だと思います」(菊地)
『ゼクシオ14+』は、通常のチタンフェースながら、『アイアン版リバウンドフレーム』や高比重タングステンウェイトなどで高初速・高弾道性能は確保しつつ、山型形状の『Vソール』を採用するなど、『スリクソン』的な要素を盛り込んだ設計。
菊地が言ったようなシャープなのに飛ぶ、飛ぶのに抜けがいい、という“ギャップ”が大きな魅力と言えるだろう。
「どちらもやさしく飛ばせるアイアンではありますが、構えた顔の安心感やミスへの寛容性を求める人には『ゼクシオ14』、シャープな顔や抜けのよさを求める人や、しっかり打ち込んで飛ばしたい人には『ゼクシオ14+』が合いそうです。どっちもストロングロフトの“飛び系”ですが、ただ飛ぶだけじゃない“プラスアルファ”がある『ゼクシオ14』シリーズはとても魅力的だと思います」(海老原)
◎ALBA935号「銀のALBA」より転載
◎取材・文/鈴木康介
◎撮影/相田克己