アイアンは「S15C」、ウェッジは「ソフトステンレス」に素材を一新
アイアンやウェッジのアスリートモデルと言えば、軟鉄(「S20C」)で作られるのが一般的だ。心地良い打感や操作性がある一方で、アイアンなら飛距離性能や寛容性に限界があり、ウェッジでは溝の耐久性やノーメッキに仕上げたときにサビがつくといったデメリットがある。
そんなクラブが潜在的に抱える問題を、2つの『新素材』で解消したのがHONMAの最新モデルだ。
アイアンでは、従来の軟鉄よりも純度が高く、さらにソフトな素材「S15C」を採用。従来モデルを上回るソフトフィーリングを実現しながら、HONMA独自の熱処理を加えることでヘッドの剛性を高め、初速性能がアップ。心地良い打感でやさしく飛距離の出るアイアンに進化した。
一方、ウェッジには「ソフトステンレス」を採用。サビに強く、耐久性も高いステンレスの特性を持ちつつ、独自の熱処理を加えることで軟鉄に匹敵するソフトなフィーリングを実現している。ノーメッキで高いスピン性能を持ちつつ、耐摩耗性も備えた今までにないウェッジが作れるようになった。
HONMAが国産ブランドとして、ヘッド構造や細部の作り込みにこだわって仕上げた『T//WORLD IRON』と『HONMA WEDGE』はどんなクラブに仕上がっているのか。今回は、感性とデータという異なる視点を持つ2人のフィッターに最新モデルの性能をチェックしてもらった。
『T//WORLD IRON』は内柔外剛化で極上のフィールに飛びをプラス
熱処理を施した「S15C」の採用によって、『T//WORLD IRON』は、従来の軟鉄鍛造アイアンにはできない性能を実現している。
「従来の軟鉄鍛造と比べて明らかに違うのはボール初速です。HONMA独自の熱処理によって、ヘッド剛性を高めた効果は確実に出ています。フィーリングの良さを残したまま、性能を高められたのは画期的ですね」(藍川)
「S15C」を採用した『T//WORLD』シリーズを試打した小倉は、今までにない打感だったと話す。
「ボールに当たったワンタッチ目で弾きつつ、中の軟らかさでグッとフェースに喰い付いてくれました。軟らかいけど芯がある感じで、従来の軟鉄鍛造アイアンとも、複合素材のモデルとも違う心地良いフィーリングでした。ボールの重さも感じられますし、素材でここまで変わるとは驚きです」(小倉)
今回は『T//WORLD IRON』シリーズの7番アイアンを小倉に打ってもらい、弾道計測を実施。「トラックマン」を使用し、モデルごとの弾道傾向の違いを検証した。その中で飛び・操作性・寛容性のバランスが取れていたのが『T//WORLD Vx』だ。
「HONMAらしい良い顔をしていて、程よくサイズがあるので構えたときに安心感があります。ファーストコンタクトの弾きで飛距離が出つつ、その後で手に残る余韻が軟らかくて、とても気持ちいいです。深めのキャビティでミスへの強さがありつつ、十分な操作性も備えています」(小倉)
ちなみに『T//WORLD IRON』ではソールのバンス設計にもこだわっている。『Vx』は小さめのバンス設計になっていて、緩やかな払い打ちのゴルファーにマッチする。
同じ「S15C」を採用しつつ、よりスピンの利いた高いボールで、ピンを狙っていけるのが『T//WORLD TOUR V』だ。
「シャープな見た目とは裏腹に、初速性能の高さでしっかり距離が出ます。『Vx』に比べて、スピンがしっかり入って止まる球が打てるので、キャリーでピンを狙っていけます。番手ごとに必要なスピン量をクリアしながら、距離を届かせてくれるアイアンです。あとはインパクトでソールが地面を跳ね返してくれる力を感じました。強く打ち込んでもエッジが刺さらず抜けてくれて、すごく実戦的です」(小倉)
『TOUR V』は『Vx』よりもバンス角が大きい設計を採用。ダウンブローに上から打ち込んでもしっかり抜けてくれる。シャープなヘッドだが、入射角のミスをカバーしてくれる寛容性を備えているのだ。
そして、『T//WORLD IRON』シリーズには、2ピース構造で飛びとやさしさを重視した『Px』もラインナップされている。「S15C」ではないが、高強度な新素材をフェースに採用することで、弾きとフィーリングの良さを両立している。
「構えたときの顔の系統は同じですが、ヘッドが大きめで、ブレードもやや厚いので安心感があります。圧倒的にやさしくて、軽やかに弾いて良い球が出てくれます。スピンが入りつつ、ヘッド構造で初速が出るぶん、『Vx』よりも飛距離が出るイメージです。弾道直進性とやさしさを求めつつ、フィーリングも大事にしたい人にピッタリなモデルとなっています」(小倉)
ヘッド設計や形状、試打データをチェックした藍川は、『T//WORLD IRON』はコンボで使うのもおすすめと話す。
「飛びに特化したモデルが人気となる中で、『T//WORLD IRON』は高さでグリーンを狙える性能を持っています。レベルに関係なく、あらゆるゴルファーに試してほしいクラブです。また、サイズこそ違いますが、『T//WORLD IRON』の3モデルは顔に統一感があり、構えたときの違和感がありません。上の番手にやさしいモデルを入れる『コンボセット』を作るのもおすすめですよ」(藍川)
サビずに好フィールなのに激スピン! 「ソフトステンレス」がウェッジの常識を変える
ウェッジとしては珍しいステンレス系素材を採用した『HONMA WEDGE』。
「ステンレスと聞くと硬いイメージを持つかもしれませんが、『HONMA WEDGE』の『ソフトステンレス』は熱処理を加えることで非常に軟らかくなっています。むしろノーメッキでもサビずに、溝の強度が上がることでスピン性能と耐摩耗性を両立するなど、メリットが多いです。ウェッジのこれまでの常識を変えるモデルだと言えそうです」(藍川)
試打を行った小倉も、軟鉄のモデルと遜色のないソフトな打感と乗り感を絶賛する。
「試打をしても、インパクト時のフィーリングに何の違和感もありません。軟鉄に近いソフトさがあり、しっかりフェースに乗ってくれるのでボールの操作もできます。『HONMA WEDGE』は『ソフトステンレス』でもロフト角やライ角の調整が可能なようですし、一般的なステンレスとは全く違いますね」(小倉)
『HONMA WEDGE』は素材だけでなく、ヘッド構造そのものも前作から一新されている。大きな変更点は2つで、1つ目は46度〜52度の「AW」と54度・56度の「SW」、58度〜62度の「LW」でヘッド構造や溝の設計を明確に分けたことだ。
「同じロフト角でもアイアン設計のものとウェッジ設計のものだと、ウェッジ設計の方が、スピンが増えるぶん、飛ばないことが多いです。『HONMA WEDGE』はアイアン溝で、直進性の高い球が打てるので、『AW』でしっかり飛距離が出ます。中間の流れを良くしてくれます」(小倉)
2つ目は、ソールを「ハイバンス」と「ローバンス」の2タイプに絞ったことだ。
「『ハイバンス』はしっかりソールが当たってくれる感覚があり、ダフリにくさを感じます。コースに行くとこのやさしさが助けになります。一方で『ローバンス』は一般的に刺さりやすいイメージがありますが、『HONMA WEDGE』の場合は、しっかり滑って抜けてくれます。変にシビアな感じはなく、やさしくボールが拾えます」(小倉)
「最近はウェッジのソールの種類が増える傾向ですが、同時に自分に合ったものを選ぶ難しさが出ています。『HONMA WEDGE』は2つでかなり幅広いタイプのゴルファーをカバーできますし、全くタイプの違う2択でソールが非常に選びやすいです。新素材の採用で、溝の耐摩耗性が上がっていますし、自分に合うウェッジを長く愛用できるモデルですよ」(藍川)
『T//WORLD IRON』はオリジナルシャフトのスペックが秀逸!
『T//WORLD IRON』と『HONMA WEDGE』はスペックにも強くこだわっていて、いずれも100グラム台のスチールシャフトを標準装備。特にアイアンは、日本シャフト社と共同開発した市場にはない100グラム台のオリジナルシャフトを採用している。
「100グラム台は一般ゴルファーにとって“ど真ん中”の重量です。しかし、市販されているモデルだと選択肢が少ないのが現状です。そんな中で『T//WORLD IRON』に標準装備されたオリジナルシャフトは、市場にはない特別なスチールです。赤い刻印の『RED』は走り系で緩やかな入射角のスイングと好相性。黒い刻印の『BLACK』は粘り系で、鋭角に打ち込むスイングにマッチします」(藍川)
「『RED』と『BLACK』で特性の違いがしっかり出ていますし、標準装備されるヘッドとの相性も抜群に良いです。ヘッド単体の性能だけでなく、シャフトとのマッチングも考えられているので、間違いなくミート率が上がって、楽に飛距離が出せるはずです。カスタム対応もしていますので、気に入ったヘッドとシャフトを組み合わせるのもアリですよ」(小倉)
『T//WORLD IRON』と『HONMA WEDGE』で最高のセットを組もう!
同じ100グラムの重量帯のスチールシャフトを標準装備した『T//WORLD IRON』と『HONMA WEDGE』。吊るしの状態で重量フローが整っているので、好きな番手やロフトのクラブを組み合わせるだけで、最高のセッティングを作ることができる。
「一般的に吊るしのクラブは、アイアンとウェッジの重量差が開く傾向にあります。しかし、『HONMA WEDGE』に100グラム台のウェッジ専用シャフト『N.S.PRO MODUS3 WEDGE105』を装着するなど、今回のHONMAはアイアンからウェッジにかけての重量フローが完璧です。振り心地が揃って、ショットの成功率が高まるはずです」(藍川)
「細かな調整をしなくても、好みのヘッドを組み合わせるだけでセッティングが成立するのは楽ですね。顔に統一感があるのでコンボセットも組みやすいですし、ウェッジもロフトバリエーションが豊富なので、さまざまなセッティングを作ることができます」(小倉)
そこで今回は2人のフィッターに自分が考える理想のセッティングを提案してもらった。
「7番から上はやさしい『Vx』で、8番以下は操作性の高い『TOUR V』を選びました。球筋を操りながら、ピンを狙っていける組み合わせです。ウェッジはソールの違う2本を入れることで、さまざまなライ、打ち方に対応することができます」(小倉)
「6番からやさしいモデルを中心に組むことで、安定したショットが打ちやすいセッティングを考えました。『Vx』の10番はロフト角42度なので、『HONMA WEDGE』の46度を入れることで飛距離の階段が整います。また、54度はグリーン周り、58度はバンカーと違うソール形状で用途を分けています」(藍川)
新素材による性能アップ、そして完璧な重量フローのスペックなど、HONNAの最新アイアン&ウェッジは、細部にまでこだわり抜いたクラブに仕上がっている。美しいデザイン、洗練されたフィーリング、そして卓越した性能。クラブに関してあらゆる性能に妥協したくないゴルファーにとって、『T//WORLD IRON』と『HONMA WEDGE』は有力な選択肢なることは間違いなさそうだ。