2024年でツアーから撤退した上田桃子や25年プロテストに合格した藤本愛菜、千田萌花が在籍している「チーム辻村」を率いるプロコーチの辻村明志氏。打点のバラツキが修正できる最高の練習方法は、『直ドラ』で打つことだという。その方法についてじっくり聞いた。
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プロや上級者と、上達しないアマチュアの大きな違い。それは練習におけるドライバーに対する考え方ではないでしょうか。アマチュアの多くは、ドライバーの練習に時間も球数も多く費やします。飛距離はゴルフの魅力のひとつです。しかし、実際のラウンドでドライバーを使うのはわずかに14回。実戦的な練習をするのであれば、使用頻度の高いクラブ練習するのが合理的だし賢明です。ちなみに使用頻度の最も高いクラブはパター。アマチュアが最も練習しないクラブではないでしょうか?
それはともかく、皆さんに是非ともやってほしい練習があります。それはドライバーで芝やマットの上からボールを打つ『直ドラ』です。実際、ボクのチームでは毎日50球の『直ドラ』を課しています。その目的は打点の安定です。打点の安定こそがスイング作りのすべてであり、究極は『クラブの芯でボールの芯を打ち抜く』ことにあると思っています。
では、具体的にどのような練習をするのでしょうか。ドライバーだからといって遠くに飛ばす意識を捨てましょう。クラブを2本分短く持ち、8割の力でスリークォーターの振り幅で、飛距離はせいぜい150ヤード程。実際には難しいですが、ボールを目線以上に上げない意識で真っすぐのライナーで伸びる球を打つのがポイントです。
例えば、アイアンで5番と7番で飛距離があまり変わらない、という人は読者の中にも多いのではないでしょうか。その理由はズバリ打点と入射角が不安定だからです。それを修正、安定させるのが『直ドラ』で打つ練習です。
ドライバーだからといってアッパーに打つと、ボールはトップします。逆にアイアンのように上から打ち込めば、球が上がりません。これを目線の高さで、真っすぐのライナーを打つにはヘッドを低く長く入れるしかないのです。
実際に右サイドが突っ込む人、インサイドからクラブが入らない人、もっと言えばアイアンがダフリ気味な人、番手によって距離を打ち分けられない人……などには効果的な練習です。
プロであっても疲れが溜まっていたり、緊張する場面では、どうしても打点が狂ってしまうことがあります。そうした状況では、特にこの『直ドラ』での練習感覚を思い出すことが重要で、セカンド地点であっても、ボクは選手にドライバーでの素振りを心がけるようにすすめています。
洋芝で打つとプロとアマチュアは大きな違いが生まれます。プロとアマチュアのアイアンの打点の大きな違いは、プロはフェースの下目で打つのに対し、アマチュアは上側で打つこと。多くのアマチュアは無理に打ち込もうとするため、真ん中よりも上で打ちますが、プロはスコアラインの下から2〜3本目で打ちます。これが打感の悪さと飛距離のバラツキにつながっています。
打点の安定に『直ドラ』がなぜいいかと言えば、ヘッドが大きくフェースが広いからです。どこに当たったかが分かりやすく、またヘッドがどう入ってきたか、さらにはプレーンまで分かります。小難しく考えなくても、目線の高さで真っすぐのライナーが打てれば、打点も入射角もプレーンも正しい証拠。何より打感も良く、気持ちよく振り抜けるでしょう。アイアンだとややダウンブローで打てると思います。
もっとも『直ドラ』はボールがつかまりにくく、スライスが出ることでしょう。クラブがアウトから下りるアマチュアには、なかなか打てないのも実情です。
であれば、こうした人たちはティを高くして、よりロフトのある3番ウッドで打ちましょう。ここでも意識するのはスリークォーター、そしてボールは中弾道ストレートライナー。そして大事なのがボールだけを打つこと。実際、芝に刺したティペグであれば、ティがその場に残るように打ちます。これも打点を安定させるために効果的な練習です。この練習後にアイアンを打つと、これまでにないソールの滑り感を感じるはずです。
さて、皆さんはどれだけ打点を意識してスイングをしているでしょうか。飛距離や飛ぶ方向ばかりに意識が集中してはいないでしょうか。実際、フェースのどこに当たったか気にしないアマチュアが多過ぎます。プロは打った瞬間にどこに当たったか認識できますが、アマチュアにはなかなかこれができません。
しかしその第一歩は、まず打点を意識すること。そしてクラブの芯でボールの芯を打ち抜けば、今までにない快感を得られます。そのための練習が、今回紹介した『直ドラ』や3番ウッドのハイティ打ちです。普段の練習に取り入れてみてください。
■辻村明志
つじむら・はるゆき/1975年生まれ、福岡県出身。上田桃子らのコーチを務め、プロを目指すアマチュアも教えている。2025年は千田萌花と藤本愛菜をプロテスト合格に導いた。読売ジャイアンツの打撃コーチとして王貞治に「一本足打法」を指導した荒川博氏に師事し、その練習法や考え方をゴルフの指導に取り入れている。元(はじめ)ビルコート所属。
※『アルバトロス・ビュー』924号より抜粋し、加筆・修正しています
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