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難航する“ポスト小林会長”選び… 双子出産から復帰の有村智恵に直撃「将来的に理事に立候補する気持ちは?」【現地記者コラム】

出産後、復帰2戦目となった有村智恵に直球の質問をぶつけてみた。

所属 ライター
臼杵孝志 / Takashi Usuki

配信日時:2025年4月23日 12時00分

直球を投げてみた。「将来的には協会理事に立候補する気持ちはありますか」と。

【写真】現JLPGA会長の小林浩美

熊本空港CCで行われた先週の「KKT杯バンテリンレディス」。ボールを投げた相手は、昨年4月に双子の男児を出産し、ここが復帰2戦目となった有村智恵だ。復帰初戦の「ヤマハレディースオープン葛城」は113位で予選落ち。地元での試合となった今回も77位で残念ながら予選は通過できなかったが、初日は3オーバーの「75」で、2日目は「74」。トータル5オーバーには「手ごたえはよくなっている」と笑みも浮かんだ。

2日目の最終18番パー5は残り65ヤードの3打目をピンそば30センチにつけ、バーディで締めた。ツアー14勝の原動力となったショットの精度は錆びついてはいない。「そこは自分らしさ。衰えていないのかなと…」。そして、こう続けた。

「足りないところはたくさんある。そこは試合に出ないとつかめない。ゴルフに100%、子育てに100%は無理ですが、両立しながら、これからどうゴルフに向き合っていくかを考えたいと思っています」

一番知りたかったのが、まさに有村智恵の『これから』だった。で、冒頭の質問。結論から先に書けば、彼女がJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)の理事、そして、その先、会長になる可能性は十分にあると思う。ぶしつけな質問にも、「前向きに考えたい」と答えてくれたのだから。

有村は男子ツアーの選手会に相当する「プレーヤーズ委員会」の委員長を2019年に務めた。同委員会は独立した組織ではなく、協会内の組織だが、会員(選手)の意見を吸い上げ、橋渡し役として協会との調整に奔走。今も少数派だが、当時は結婚、出産後もトッププロとして活躍している選手は皆無と言ってよかった。

「結婚したら、子どもを産んだら、選手としてはもう無理だとあきらめる人が多かった。でも、そういう環境を変えたいと思っている協会の方はいました。そのことに気がつけたことはすごく大きかった。自分が母親となった今回も『できることはやりたい。ずっと協力していきます』とおっしゃってくださった。私たち選手も意見や要望を出していかないといけない。受け身ではダメなんです」

有村は常に「モノを言う」選手だった。「おかしい」と思ったことがあれば、協会に問いただす。コロナ禍でなくなったが、かつては重要な事案がある場合などトーナメント会場で年に数回、全員参加の選手ミーティングが開かれていた。そこで意見を必ず述べる選手が有村だった。小林浩美会長とも直談判に近い話し合いをしたことがあったと思う。その根底にあるのは「女子ツアーを、協会を少しでもよくしたい」。個人事業主のプロゴルファーでは、かなりレアな存在で、これまで「絶対、理事になるべき」とけしかけたのは、一度や二度ではない。

JLPGAは3月の定時社員総会で小林会長の再任を承認した。8期目となる任期は2027年3月まで。JLPGAは65歳定年制で、1963年1月生まれの小林会長も例外ではなく、長期政権も長くてあと1期で終わる。だが、「ポスト小林」選びは遅々として進んでいない。誰もいないし、誰もやりたがらない。何年も前から協会も水面下で動いているが、打診した相手にはすべて断られていると聞く。会長職は理事を経験した者に限られ、理事になれるのは「理事候補者候補選定選挙」に立候補した会員のみ。外部招へいもできない仕組みは、かなり危機的な状況だ。

現役のツアーメンバーも理事選には立候補できるが、「理事の職務に支障がないこと」が明文化されている。仮に有村理事が誕生しても、その時点でツアーに重点を置くことはできなくなるというわけだ。だから有村の「前向きに考えたい」には、条件がつく。「思い切り仕上げた状態で試合に出たい気持ちもあるし、子育てもある。ほかの仕事もさせてもらっている。そのすべてを丸投げして、協会の仕事に専念することはできない。理事になりやすい環境ができ上がれば…」。今年11月で38歳。協会を引っ張っていくのに、決して若すぎる年齢ではない。そして小林会長には後輩たちが働ける環境づくりを、ぜひ在任中に最後の大仕事のひとつとして制度化してほしい。

あくまでも今は選手としての活躍、そして子育てが最優先なのは前提だが、将来の会長候補として実績は申し分ない。今のJLPGAで彼女ほどの適任者はいないだろう。来るべき日には、勝手に外野から「有村理事」に一票を投じたい。(文・臼杵孝志)

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