<ソニー 日本女子プロ選手権 3日目◇7日◇かねひで喜瀬カントリークラブ(沖縄県)◇6670ヤード・パー72>
最終9番パー5。49度のウェッジで放った残り100ヤードの3打目は、カップ手前3メートルに着弾すると、2バウンドし、“カラン”という音を響かせ吸い込まれた。これを見ていたギャラリーから大歓声があがる。「ひさびさに、みなさんにいいプレーが見せられました」と、原英莉花はよろこびを表現した。
トータル2アンダーの40位で10番ティからスタートした3日目は、前半で3つ伸ばし順調に順位を上げていった。しかし、折り返し直後の2番、3番で連続ボギー。さらに7番でも1つ落とし、終盤で振り出しに戻されることに。
初日は「69」といい滑り出し。しかし前日は「73」と1つ落とし、上位から後退していた。「2、3日目はパッティングで苦戦しました。朝から感覚があまりよくなくて、難しくなりました」。沖縄特有のパスパラム芝が貼られているグリーンは、開幕前から警戒していた部分だが、ラインの読みと実際の球筋がうまくかみ合わず、苦しんだ。
それでも8番で残り148ヤードのセカンドを8番アイアンで4メートルにつけバーディを奪う。そして迎えたのが9番だった。「バーディは狙っていたけど、まさか入るとは」。歓声が聞こえた後は「ほえ~って感じ(笑)」と、ちょっぴりあ然。マウンドを下った場所にカップが切られていたこともあり、寄っただけなのか、入ったのかの判断を迷った。
「よろこんだ後に違うことが、たまにあるから、あまり大きくよろこべなかったんです(笑)。一瞬固まりました。よろこんでいいのか?って」。ただ一日の苦しかったものを吹き飛ばす、ショット・イン・イーグル締めにはなった。
トータル5アンダーの22位タイと順位を上げたが、首位との差は11打。「日本女子オープン」(2020、23年)、「JLPGAツアー選手権リコーカップ」(20年)に続くメジャー3冠は厳しい状況に追い込まれたが、ひたすらに上位を目指す必要がある。明言している米国挑戦もそのひとつの理由。現在103位の世界ランキングを最終予選会(Qシリーズ)から出場できる75位以内に上げることが当面の目標だが、エントリーの締め切りは10月8日(米国東部時間)と迫っている。そこに向けて少しでも多くポイントを積み上げたい。
「もちろんアメリカに行きたい気持ちは強いし、テストが控えるなかで大切な試合が重なってくる時期。そのなかで調子が不安定なのは気がかりです。でもショットがいい時も増えてきているので、そこで自信を持っていきたい」
直近5試合中4試合でトップ10入りし、「春先に比べれば上向き」なのは本人も感じている。ただ「逃げるクセがついている」というのが気がかりな部分だと話す。「ピンが端に切られている時、もっと積極的に狙っていきたい。それをコースのなかで払拭しようとしてミスにつながっているのが課題ですね。性格的にいろいろ考えすぎてしまう。でもそれも含めて私なので、乗り越えられるようにやっていきたい」。沖縄での残り一日も、今後への“課題”と向き合っていく。(文・間宮輝憲)