<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 事前情報◇6日◇茨城GC西コース(茨城県)◇6718ヤード・パー72>
今年のメジャー初戦には、1988年のツアー制度施行後で史上最短となるパー3が登場する。それが98ヤードの15番ホール。これまで最短だった1991年と92年の「ミヤギテレビ杯女子オープン」16番の115ヤードよりも17ヤードも短い“超ショートホール”だ。
グリーン手前に大きな池が待ち構えるホールに現れた選手たちが握るのはウェッジ。ティショットは、まるで池に落とした後の“3打目”といった雰囲気になる。練習日の5日は、その手前にある池寄りにピンが切られ、選手たちは距離感を合わせながらカップを狙っていた。今年と同じ西コースを使用した2023年大会は160ヤードに設定されていたが、それと比べると62ヤードの差がある。
そんなホールに対して選手の反応もさまざまだ。今季2勝と好調の髙橋彩華は、「どれくらい止まるのかなと思ってましたが、(グリーン上で)スピンはそこそこ入りそう。普通のピンポジションだと簡単になっちゃうから、多分とんでもないくらい池のフチに切ってくるのかなと読んでます」と話す。
ここでの注意点は風。「フォローで(ピンを)手前に切られると、シビアになるかも。意外と伸びないかもしれないし、距離が短いからバーディが取りやすいとはならない」と警戒を示した。
前週優勝者として乗り込んできた菅沼菜々は、やはり風向きには気をつけるが「意外と普通でした」とケロリ。「(グリーン手前、池につながる芝が)もっと刈ってあれば…という感じですが、そんなには落ちない。バックスピンもそんなに嫌な感じもなかったし、風が穏やかだったきょうは“ありがたいな”という感じでした」と攻略をイメージする。
では、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の意図はどこにあるのか? コースセッティングを担当する茂木宏美は、「14本のクラブをすべて使いこなすなか、短いクラブでしっかりとしたスピンコントロールをする技術を追求するため。そのために15番が最適だと思った」と、その意図を説明する。
JLPGAは、大会を通じて「状況によってバーディを狙っていく、パーで切り抜けるシチュエーションがはっきり分かれる。グリーンを狙うにもボールの高さやキャリーでどこに乗せていくのかが細かく要求されるコース設定」が狙い。「思い切って踏み切りました」(茂木)という15番は、“象徴”ともいえるホールだ。
そこで50度と54度のウェッジを使い、2度ティショットを確認していたディフェンディングチャンピオンの申ジエ(韓国)は、100ヤード前後のパー3をプレーするのは「ペブルビーチくらい」と話す。23年にジエが2位になった「全米女子オープン」の会場にもなった名門コースといえば、岬の突端にある100ヤードほどに設定される距離が短い7番が名物ホールとして知られる。もちろん林間コースの茨城GCでは、強烈な海風にさらされることはないが、短さという点で、そこを彷彿(ほうふつ)とさせたようだ。
「スピンコントロールができないと落ちる場所が分からない。きっとそれが狙いにあるのでは」とそこに込められた意図は、やはり汲み取っている。「ピンは厳しくなると思う」というなか、ポイントはティアップせずに打つ一打目。「クラブがボールの下をくぐるとスピンがかかりすぎる。それを抑えるように」と手前の池に細心の注意を払いながら、ピンを狙っていく。
「昨年の夏に小林(浩美)会長と、今後のセッティングについて話をした時に、『ウェッジのスピンコントロールが上がると、選手全体のレベルが上がるのではないか? 』 という意見をもらった。ウェッジでうまくいかない時、結果に顕著に出る。2段グリーンで届かなかったら池があるけど、うまく打てればご褒美がある。小林会長の話と自分のイメージが一致して、ここ(15番)ならできると思い始めました」(茂木)
このホールには4日間通じて200万円のホールインワン賞(複数達成の場合は均等割り)も懸けられている。確かに大きな“ご褒美”もぶら下がっている。痛快な一打連発でギャラリー大盛り上がりのホールになるのか? それとも…。本戦での見どころのひとつになりそうだ。(文・間宮輝憲)
