<ヨネックスレディス 最終日◇2日◇ヨネックスカントリークラブ(新潟県)◇6339ヤード・パー72>
25歳の新垣比菜が2018年以来6年ぶりとなるツアー2勝目を飾った「ヨネックスレディス」。長いトンネルから抜け出した。2021年9月から指導する青木翔コーチに新垣の“素顔”を聞いた。
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黄金世代の新垣は、17年のプロテストに合格。翌ルーキーシーズンの18年に「サイバーエージェント レディス」で“世代一番乗り”となるツアー初優勝を挙げた。しかし、そこからショットの調子が陥り、20-21年シーズンにシード権を喪失。マネージャーの提案もあり、渋野日向子を「全英AIG女子オープン」優勝に導いた青木コーチの指導を受けることになった。
「え、なんで俺なの?」と、それまで新垣と青木コーチは面識はほとんどなく、挨拶程度の関係性。お試しのレッスンを行い、コーチの契約を結んだ。「最初はシャレにならないぐらい酷かった。ドライバーは200ヤードのチーピンぐらいしか出なかったですからね。逆に『今まで何やってきたの?』って感じでした」と出会いはじめに青木コーチが感じられた“本音”が明かされた。
「『ゴルフってこれは絶対守らなきゃいけないよね』っていうような基本から教えた。ドローヒッターがドローを打つためには何をしなければいけないのか、とか。そういう最低限覚えて欲しい理屈をまず教えた」と基礎の基礎からたたき込んだという。
そして、ネガティブで内気な性格の新垣に対しては、コミュニケーションの取り方にも気をつけた。「普通のかわいい女の子ですよね。チームと話しあって、『アスリートはこうあるべきだ』っていうのを押し付けないようにした。比菜ちゃんは比菜ちゃんだし、いい循環が回るように心掛けました」と新垣のペースに合わせながら、徐々に信頼関係を深めていった。
それでも、「LINEとかも基本は返信が返ってこないです(笑)。電話なんか1回しか、かかってきたことがない。その1回も『きょうから兵庫にいくんですけど、大丈夫ですか?』って那覇空港からかかってきた(笑)」。イマドキのかわいい25歳のようだ。
これからの新垣については、「優勝で挙げたポイントなしで、シード権をとれるようなポイントを稼げるようになって欲しい。毎年、優勝することは大事だと思いますけど、絶対勝てるかという保証はないので。確実にシードをとれるだけの自力をつけて欲しい」と期待を込めた。(文・神吉孝昌)