先週のPGAツアー「キャデラック選手権」はシグニチャーイベントに昇格され難コースで開催されたが、キャメロン・ヤングは物ともせずに攻略。初日ボギーなしの「64」から始まり、最終日「68」で締めくくるトータル19アンダー。2位に6打差をつける完全優勝は、3月の「ザ・プレーヤーズ選手権」に続く、直近4試合で2勝目という驚異的なハイペースだ。
快進撃の裏には、米国タイトリストの研究開発チームとヤングが二人三脚で辿り着いた、未発表のプロトタイプボール『Pro V1x ダブルドット』の存在があった。このプロトタイプが「ヤングをどう覚醒させたか?」の裏話を米国アクシネット社が明かしている。
■ アイアンの飛距離を疑うほどの「コントロール性能」
ヤングがこの新しい『ダブルドット』を初めて打ったのは2024年秋。マサチューセッツ州にあるタイトリスト・パフォーマンスセンターでのテストだった。それまで別のCPOで通常の『Pro V1』より低弾道・低スピンな『Pro V1レフトドット』だった彼は、ブラインドテストですぐに違いを感じ取ったという。
「ボールが出てくる弾道がとても良かった。私はボールが空中で浮いている(吹け上がる)のを見るのが好きではないので、頂点からそのまま落ちてくるような安定した弾道に確信を持てたんだ」(ヤング)
適合登録に時間をかけ最初の結果が出たのは、昨夏の「ウィンダム選手権」だった。練習日の7番パー3(184~225yd)、それまでなら5番アイアンを持つ場面で、ヤングは『ダブルドット』を6番で打った結果、ピンをわずかに越える完璧なショット。「6番でここまで届くなんて」。ヤングはその場で、自身のロッカーに新ボールを補充するようチームに依頼した結果、6打差の圧勝でツアー初優勝を飾った。
タイトリストのツアー担当ディレクター、フォーディ・ピッツ氏もこう語る。「彼はあらゆる場面でタイトなドローを打っていました。ミスショットも以前よりインプレーに留まり、彼が『11時方向』と呼ぶミスヒットでさえ、そこでも少し力を抜いて打っていて、素晴らしいコントロールを見せていました」(ピッツ氏)
■ボールに合わせて「バッグの上」を最適化
興味深いのは、ボール変更がウッド調整を促した点だ。アイアンとウェッジで理想的なスピン量と弾道を手に入れたことで、次に課題となったのは「バッグの長めのクラブ」だった。アイアンの性能を最大限に活かすため、1WとFWには「高さ」と「適正スピン」の両立が求められた。
そこで『GT3』ドライバーはあえて11.0度を選び、可変「D-1」設定で10.25度に調整しスピン量を増やさずに打ち出し角を確保。3Wは『GT1』の14.5度でツアー専用の「シルバーフェース」プロトタイプを採用し、低重心でラクに浮かせつつも強弾道を実現した。また、ハイブリッドも直近で『GTS3』(21.0度)の7Wへスイッチ。
この調整が完璧にハマり、今大会のヤングはティショットの指標(SG: Off-the-Tee)で+3.797を記録。さらにグリーン上でもスコッティ・キャメロン『ファントム9.5R』で全選手中トップのパッティング貢献度を叩き出した。
「カスタム・パフォーマンス・オプション(CPO)」と呼ばれる、プロの繊細な感覚を形にする同社ゴルフボールの試作プログラム。かつて『Pro V1xレフトダッシュ』がそうであったように、ヤングを覚醒させたこの『ダブルドット』もまた、次世代のスタンダードへと昇華していくのかもしれない。
【キャメロン・ヤングの優勝ギア】※全てタイトリスト
1W: GT3(11.0° ディアマナPD60TX)
3W: GT1(14.5° ディアマナPD80TX)
7W: GTS3(21.0° テンセイ1Kブルー90TX)
4I: T200(Dynamic Gold X7)
5I: T100(Dynamic Gold X7)
6I~9I:631.CYプロトタイプ(Dynamic Gold X7)
48,52,56°:ボーケイ・デザイン SM11(〃)
60°:ボーケイ・デザイン WedgeWorks 60K(DG X100)
PT:スコッティ・キャメロン PHANTOM 9.5R tour prototype
BALL: Pro V1xダブルドット(未発表プロトタイプ)