<KKT杯バンテリンレディス 2日目◇18日◇熊本空港カントリークラブ(熊本県)◇6596ヤード・パー72>
苦手コースを力と技でねじ伏せた。9バーディを奪い、ボギーなしの満点ラウンド。トーナメントコースレコードを2打更新する「63」をマークした鈴木愛が、初日の21位から首位にジャンプアップした。
パット数はアウト、インともに「9」の計18パット。1999年「中京テレビ・ブリヂストンレディス」最終日の村口史子、2008年「廣済堂レディス」初日の飯島茜、09年「NEC軽井沢72」初日の佐藤のぞみが記録した19パットを17年ぶりに塗り替えた。18ホールのツアー最少パット数の金字塔を打ち立てる歴史的な首位獲りで、ツアー通算23勝目に王手をかけた。
「そこそこのゴルフができて、6つくらい伸ばしているかなと思っていたら9アンダーだった。びっくりしました」
1996年の第5回(当時再春館レディース)から大会の舞台となっている熊本空港カントリークラブは、「トップ3に入る苦手コース」のはずだった。ちなみにほかの2つは「NEC軽井沢72」の軽井沢72ゴルフ北コースと「アクサレディス」のUMKカントリークラブ。徳島県出身でジュニア時代から腕を磨いた四国に多いアップダウンのあるコースを得意としている。
その中でも大得意は「大王製紙エリエールレディス」のエリエールゴフルクラブ松山。この日は3打目をピン奥3メートルにつけた9番パー5から13番パー3まで、自身4度目となる怒とうの5連続バーディを奪ったが、過去3度はいずれも大王製紙エリエールで記録したもの。2016年大会の3日目には3番から8番まで、自己最多の6連続も記録している。
「熊本空港はドッグレッグが多くて、中途半端なところにバンカーもあるし…」
口を開けば、グチが出る。ただ、それを額面通りに受け取るわけにはいかない。2年に一度のペースでスキップもしていたが、今回が6度目の出場で予選落ちはなし。24年は2位、22年は8位に入っている。
「ここ数年はうまくコースマネジメントができて、攻略できている。少しイメージはよくなっているかな。でも、今年は昨日からチャンスについてもラインが全然読めなかった。きょうは全部、キャディさんにお願いしました」
今週は大溝雅教キャディにバッグを担いでもらっている。片山晋呉の賞金王をサポートし、福嶋晃子、大山志保、最近では昨年の「日本女子オープン」を制覇した堀琴音ら多くのプロの優勝を支えてきた名参謀だが、自他ともに認めるパットの名手からの“全権委任”にラウンド後は苦笑しながら、うそぶいた。「全ホールでラインを読むように言われたんで、適当に読んだら全部入った。こんなこともあるんだなぁ」。
この日はバンテリンカラーの上下グリーンのウェアをチョイスした。「しっかり緑を入れたいと思ったんです」。今季は自身がデザインしたアパレルブランド「own is ROSE(オウン イズ ローズ)」を立ち上げた。一般向けの販売はしない自分が着用するウェア。すでに150セットほどが完成し、試合にはスーツケース4個に100セットほどを詰めて常に用意している。「どの服を着ようかなと考えるのが楽しい。モチベーションにもなっている」と楽しそうに笑った。
永久シードの通算30勝を大目標に掲げる。「今年中に3勝はしたい。自分がデザインしたウェアで優勝したいなぁ。それも今の大きなモチベーションになっている」。今季初Vまで、あと18ホール。魔法のパットが苦手コースを得意に変え、歓喜の瞬間に導くはずだ。(文・臼杵孝志)
