<伊藤園レディス 2日目◇9日◇グレートアイランド倶楽部(千葉県)◇6769ヤード・パー72>
「原因不明」という難病から、2年5カ月ぶりにツアー復帰を果たした大山志保は、「きのうよりも痛かった」という体で36ホールを走り切った。結果はトータル9オーバーの91位タイで予選落ちとなったが、「この舞台に戻ってくることができてうれしい。きょうがスタートラインです」と笑顔を見せた。
「チャレンジ」という言葉を胸に、治療中の身ながらここを復帰戦の場に選んだ。ラウンドをしたのも、今週、このコースに入ってから。痛みに加えて長いブランクがあったなかでも、2日間で2つのバーディを奪い、“代名詞”のガッツポーズを繰り出すシーンも見られた。
プレーできるだけでも満足。もちろんそんな気持ちもあるが、この日の言葉からはツアー通算18勝を誇る実力者の“矜持”もうかがえた。
「出るからには結果を、という欲も出ました。その欲があるからこそプロだと思う。上を目指さないといけない」
ツアー屈指のショットメーカーとして優勝を積み上げてきたが、この2日間は「残り100ヤードが乗らなかった」とアイアンに輝きは戻らなかった。「ショットは0点」。そんな厳しい評価も口をつく。「アイアンが当たっていない。20年以上、ボールをつぶすように打ってきたけど、それが足への負担になるからできない。アイアンが武器なんですけどね…」。喜びの言葉よりも、反省の弁の方が目立ったほどだ。
ここからも治療法を模索しながら、より良いプレーをするための方法も見つけていく。来週の「大王製紙エリエールレディス」にも出場。「もちろん考えています」と話したQTへの出場も、大山のなかでは“規定路線”だ。
「『誰か助けて』と言いたいくらいなんです。完全に合う薬があればいいんですけど」。そんな状態でも歯を食いしばることができたのは、コースで声援を送ってくれたギャラリーの存在が大きい。「みなさんの応援が背中を押してくれました。きょうはアンダーでいけるかなとも思えた。それを感じさせてくれたのは、ギャラリーのみなさんの後押しです」。恩返しのプレーを見せるため、これまでケガなどの困難を幾度も乗り越えてきた“不死鳥”は、羽ばたくことをやめない。(文・間宮輝憲)