<日本女子オープン 最終日◇1日◇芦原ゴルフクラブ 海コース(福井県)◇6528ヤード・パー72>
菊地絵理香との優勝争いを制し、2020年に続く大会2勝目を挙げた原英莉花。2度目の日本一とあって、師匠のジャンボ尾崎にも胸を張って報告できそうだが、優勝会見ではこんな“裏話”が明かされた。
ジャンボと原の深い信頼関係は、よく知られた話。だが会見で「そこから(ジャンボに)口をきいてもらってません」という“衝撃告白”が飛び出した。いったい何があったのか? その原因は“1本のシャフト”にある。
3週前に行われたメジャー大会「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」前の一週間は、試合を休み、調整にあてた原。その週は師匠のもとに通い、ジャンボからのアドバイスに耳を傾けていた。そこで言われたのは『ドライバーショットが飛んでないな』。
実は原、その選手権からドライバーをキャロウェイの『パラダイム』に変更したのだが、それに合ったシャフトを師匠が製作し手渡した。ただこれを使った時、感覚が合わずに不安を感じたという。「それで、サブで持っていた今のシャフトに付け替えて練習していたんです。そうしたら『作りがいのない奴だ』と言われちゃって…」。それ以来、“口をきいてもらえない”という事態になったというのだ。
そんな、ちょっぴり拗ねた(?)ジャンボだが、もちろん高校時代から指導を続ける愛弟子が日本一になるのはうれしいこと。その証拠に、試合後にはジャンボ邸の日常風景を配信するYouTubeの『ジャンガーゴルフchannel jumger』に、祝福のコメントを寄せた。
『何度もくじけそうになっていても、こういう大きな大会で優勝するという事は、やはり何かを持っているという事。ゴルフは色々な壁との戦い。今後は世界の壁に立ち向かってもらいたい!おめでとう』
その言葉は、あたたかみにあふれている。原は、今月17日から来季の米国ツアー出場権をかけた予選会(Qスクール)に、ステージ2から挑む。そのために来週には会場がある米フロリダ州に渡り、その後の最終予選(Qシリーズ)、そして来季の米国行きを目指すことになる。
この米挑戦については師匠から「何も言われていない」と話してもいたが、それについてもジャンボのコメントでは触れられている。一番パワーになる言葉を胸に、ここから大きな目標に向かっていく。(文・間宮輝憲)