【バケモノたちの使用ギア】ジャスティン・トーマス。2017年間王者はナチュラルジャンプアッパー
フェデックスカップ第二戦の「デル・テクノロジーズ選手権」で優勝、最終戦の「ツアー選手権」も2位で終え、ついにフェデックスカップポイント年間王者に輝いたジャスティン・トーマス。その強さの秘訣は何なのか? 米国トラックマンが公開するデータとともに、その強さをひも解いていこうと思う。
配信日時: 2017年9月25日 07時37分
少ないスピン量、高い打ち出し、高初速はジャンプアップから生まれる
身長178センチで痩身。トーマスはPGAツアーの中では体格に恵まれてはいない。ただし、そのスイングは特に1Wや3Wで激しいジャンプアップを見せ、体格を補ってあまりあるエネルギー効率の良さを見せている。「ジャンプアップ」とはToshi HIRATA氏がこれまでに詳しく解説しているが、インパクト近辺で左足を上方向に蹴り上げる動きのこと。両足カカトが浮くジュニアゴルファーたちが浮くジュニアゴルファーの姿を目にしたことはないだろうか。
この動き自体は決して意識して生まれたものではないはず。筋力のないジュニアが飛距離を出すために無意識に身につけるもので、飛ばしのエネルギー効率が著しく増す。トーマスやレキシー・トンプソンなどジュニアから活躍する選手にはこの動きが大人になっても色濃く残るケースが見られる。反対に大人から始めた人は、ヘッドスピードがいくら速くても、ハンドレートかつインパクトロフトが増える形で捉えると、スピン量が増大して球の推進力は前にはいかず、ランも出せない。(ズバリ、筆者のこと)
この動き自体は決して意識して生まれたものではないはず。筋力のないジュニアが飛距離を出すために無意識に身につけるもので、飛ばしのエネルギー効率が著しく増す。トーマスやレキシー・トンプソンなどジュニアから活躍する選手にはこの動きが大人になっても色濃く残るケースが見られる。反対に大人から始めた人は、ヘッドスピードがいくら速くても、ハンドレートかつインパクトロフトが増える形で捉えると、スピン量が増大して球の推進力は前にはいかず、ランも出せない。(ズバリ、筆者のこと)
近年、トラックマンなどの弾道測定器を導入するPGAツアープロは、肉眼では見えないインパクトの動きを可視化し、把握しているため、球を前に飛ばすための動きを追求できている。トーマスでいえば、ジャンプアップとやや左めのボール位置で約3度のアッパー軌道を作り出しているのだが、注目点はその「スピンロフト」の少なさだろう。「スピンロフト」とは、インパクト時のロフト角である「ダイナミックロフト」から入射角(アタックアングル)を引いたもので、このスピンロフトが約12度と少ないことが低スピンを生む秘訣だ。
では、スピンロフトはどうやって減らすのか?といえば、【アッパー軌道でありながら、ややハンドファーストでボールを捉える】ことにあるだろう。ダイナミックロフトの大小にはシャフト先端の硬さなどの影響もあるが、同じアッパー軌道でも、ハンドレートなのか?ハンドファーストなのか?というのはスピン量に天地の差が生じることが容易に想像できる。
では、スピンロフトはどうやって減らすのか?といえば、【アッパー軌道でありながら、ややハンドファーストでボールを捉える】ことにあるだろう。ダイナミックロフトの大小にはシャフト先端の硬さなどの影響もあるが、同じアッパー軌道でも、ハンドレートなのか?ハンドファーストなのか?というのはスピン量に天地の差が生じることが容易に想像できる。
どんな番手もハンドファーストでロフトを増やさずインパクト!
下の画像はトラックマンが公開したトーマスのスイング動画のインパクトの瞬間を切り出したものだが、6番アイアンではかなりのハンドファーストインパクトが見て取れる。トーマスは元々ウィークグリップなこともあるが、ハンドファーストな球捉えが得意な選手だといえる。
トーマスが5I〜9Iに使用するタイトリスト『718MB』アイアンは、米国のものは日本仕様よりロフトが1度寝ている。そのため、おそらく6Iのロフトは31度。ところが、上のトラックマンデータではダイナミックロフトが16度と、かなりハンドファースト度合いが強い。そして、ダイナミックロフトは少ないものの入射角は−5.5度と大きく、6423rpmのハイスピンで192.6ヤードのキャリーを生んでいる。
特筆は、アイアンの「フェーストゥパス」が著しく真っすぐに近い点。「クラブパス」と呼ぶヘッド軌道から「フェースアングル」と呼ぶフェース向きを引いたこの数字がわずか0.5度しかなく、スピン軸の傾きもわずか0.1度。強ハンドファーストで捉える特徴から、やや強めのダウンブローでロフトを立ててヒットし、長い距離を短い番手で曲がらず止められる特徴を示している。ピンデッドばかりを狙う、攻めダルマっぷりは、このデータから一端が垣間見えるだろう。
特筆は、アイアンの「フェーストゥパス」が著しく真っすぐに近い点。「クラブパス」と呼ぶヘッド軌道から「フェースアングル」と呼ぶフェース向きを引いたこの数字がわずか0.5度しかなく、スピン軸の傾きもわずか0.1度。強ハンドファーストで捉える特徴から、やや強めのダウンブローでロフトを立ててヒットし、長い距離を短い番手で曲がらず止められる特徴を示している。ピンデッドばかりを狙う、攻めダルマっぷりは、このデータから一端が垣間見えるだろう。