「アーノルド・パーマー招待」開幕2日前の火曜夜、PGAツアー選手理事会が2024年の“エレベーテッドイベント”、いわゆる“高額賞金大会”の出場を削減し、さらに“予選落ちなし”に変更することを承認し、一部の出席者から伝わったと米メディアのゴルフウィークが伝えている。その後水曜日にはツアーからも一部概要が発表された。
現在フルフィールドで行われている“エレベーテッドイベント”は120~156名が出場しているが、4大メジャー、「ザ・プレーヤーズ選手権」、フェデックスカップ・プレーオフ3大会を除いて出場人数は70~78名に削減され、さらに36ホール後の予選カットもなくなるという。
“エレベーテッドイベント”、あるいは“デジグネーテッドイベント”と呼ばれる“高額賞金大会”は今季2022-23年シーズンから開始されたもので、昨年開幕したサウジアラビアの政府系ファンドがバックアップする超高額賞金の「LIVゴルフ」への対抗措置のひとつ。優勝賞金400万ドル(約5億4千万円)で今季14大会を開催するLIVゴルフに対し、PGAツアーの今季のエレベーテッドイベントは賞金総額2000万ドル(約27億円)、優勝賞金360万ドル(約4億8600万円)でプレーされている。
来季から実施される予定の出場選手70~78名の資格は前年度のプレーオフ第2戦のBMW選手権まで出場したフェデックスカップ上位50名、24年のフェデックスカップポイント有資格者を除いた上位10名、さらに24年のエレベーテッドイベント以外のレギュラーイベントで獲得したポイント上位5名が予定されている。
そのため24年スケジュールはエレベーテッドイベント2大会が開催されたのち、レギュラーイベントが3大会行われ、またエレベーテッドイベント2大会と交互に開催。エレベーテッドイベントの出場資格を持たない選手は、レギュラーイベントに参戦し上位で戦えば次のエレベーテッドイベントに出場できることになり、ツアーの狙いは「トップ選手と好調な選手を集める」大会にすることだという。
また世界ランキング上位、おそらく30位も出場資格に加えられることが検討され、スポンサー推薦での出場も確保されるため、タイガー・ウッズ(米国)は望む大会にいつでも出場できると推定される。
ただし今季は4大メジャーを含め17のエレベーテッドイベントが開催されるが、来季はその数も減る方向で、ジャック・ニクラス(米国)によると「WMフェニックス・オープン」はレギュラー大会となり「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」が新たに選出。ニクラスがホストの「メモリアル・トーナメント」は来季もエレベーテッドイベントとなる。
これは昨年8月、タイガーら一部のトップ選手で行われたミーティングで話し合われた内容が反映されたもの。しかし“エレベーテッドイベント”への出場資格を持たない選手にとっては厳しい変更となる。この23-24年スケジュール案はすでに各選手に通達されたという。(文・武川玲子=米国在住)