世界ランキング1位のローリー・マキロイ(北アイルランド)が1月26日開幕のDPワールドツアー(欧州ツアー)「ヒーロー・ドバイ・デザートクラシック」で2023年をスタート。だが、その開幕前にある“スキャンダル”が待っていた。
スキャンダルと言っても怪しい話ではない。開幕2日前の24日。会場のエミレーツGCの練習場でパトリック・リード(米国)との間で起きた事件が“ティ・ゲート”と名付けられ、SNSを賑わせている。
LIVゴルフに参戦しているリードだが、欧州ツアーへの参戦は暫定的に認められている。練習場でマキロイの姿を発見したリードは、新年のあいさつなのだろうか、握手を求めて近寄った。キャディとはあいさつできたが、当のマキロイはショット計測器に見入って、リードを振り返ることはなかった。
のちにマキロイは「調整で忙しくしていた。リードに対してにこやかにあいさつをする必要があるとは思わなかった」としている。つまり近寄ってきても見ないふりをしたということ。これにリードは腹を立てたのか、持っていたティをマキロイたちの方へ放り投げて立ち去った。この一部始終を動画に収めていた誰かがSNSにアップするやいなや、あっという間に拡散。“ティ・ゲート(スキャンダル)”と名前もついたというわけだ。
ただし、マキロイは「リードがティを放ったことは気づかなかった」とし、「しかし、どうやらそれは事実らしい。もし僕がリードにティを投げていたら、裁判になっただろう」とテレビ解説者などを名誉毀損で訴え、多くの訴訟を抱えるリードを揶揄(やゆ)した。
マキロイがリードの存在を無視したのには理由があった。昨年12月、マキロイはリードの弁護士によって“クリスマス・イブ”に証人としての召喚を受けた」という。「クリスマスは家族で静かに過ごす大事な時間だった。何もなかったようには対応できない」と翌日記者に不満を口にした。
一方、リードは「マスターズ」や「ライダーカップ」で戦ってきたマキロイに無視されて「ショックだった」という。「無視された理由は僕がLIVゴルフで戦っているから。僕を一瞥(いちべつ)したのに、反応しようとしなかった。子供じみた行動をとるから、子供のように返した」。ちなみに、リードが放ったティはLIVゴルフで自身が所属する“チーム・アクセス”のものだった。(文・武川玲子=米国在住)