<中日クラウンズ 最終日◇3日◇名古屋ゴルフ倶楽部 和合コース(愛知県)◇6557ヤード・パー70>
10年越しのリベンジVはならなかったが、37歳の片岡大育が復活を印象付けるプレーを見せた。3日目の「65」で優勝争いに名乗りを上げると、4打差を追ってスタートした最終日も「66」とスコアを伸ばし、トータル8アンダー・5位でフィニッシュ。2018年の「HEIWA・PGMチャンピオンシップ」(2位)以来、8年ぶりのトップ5入り。17年以来となるツアー4勝目も近そうだ。
最終日の17番パー3、ティイングエリアに立った片岡は「中継で10年前の話をしているんじゃないかなと想像していた」という。2016年大会の最終日、17番のティショットを左に曲げた片岡は痛恨のダブルボギーで2打のリードを失い、プレーオフの末に優勝を逃した。
悔しい思い出はあるが、当時も今もこのホールに苦手意識はない。「あの時と同じマネジメントでグリーンセンターを狙って打ちました」。狙い通りの一打でパーをセーブすると、18番パー4はカラーから10メートルのバーディパットを沈めて、ギャラリーを沸かせた。
ドライバーの不調に陥り19年にシードを喪失。翌年には顔面神経麻痺という病にも襲われた。まばたきがスムーズにできないため、目に涙がたまり、物が二重に見える。「目が開いているのでゴミが入るんですよ。それで年に2回ぐらい目の病気になって、コンタクトからメガネに変えました」。まぶしさも涙がたまる原因になるため、プレー中は度が入ったサングラスを手放せない。
そんな苦境のなか、一昨年はシード復帰にあとわずかに迫ったが、昨年は賞金ランキング99位と再び低迷。今年は改めて完全復活を誓うシーズンでもある。
「昨年末のQTで1位になれたことは自信になっています。ニュージーランドと東建で開幕から2試合続けて予選落ちしたので、不安になったけど、自分を信じてやってきた結果のトップ5。これでひと安心できました。今年は最低でもシード、どこかで優勝できれば、これ以上の幸せはないですね」。QTではスーパールーキーの中野麟太朗をプレーオフで破った。
片岡が苦しんでいた数年の間にツアープレーヤーの顔ぶれは大きく入れ替わり、現在は“アンダー30”が半数以上を占める。かつては中堅と呼ばれていたであろう37歳は、完全にベテラン。プレーの質も大きく変わった。「昔だったらこれで行けると思っていたかもしれないけど、今はパワーゲームなんでね、それはすごく感じています」。安定感を取り戻したショットとショートゲーム、さらには不振と病を乗り越えた強いメンタル、若手のパワーに対抗し、復活優勝を挙げるための武器は揃っているはずだ。(文・田中宏治)
