激飛び系アイアンはスコアメイクに貢献するのか?競技ゴルフで試してみた!
text by Kazuhiro Koyama
配信日時: 2018年6月20日 05時00分
高弾道で曲がらない、激飛び系の真価を発揮!
筆者が使用したのは、ピンの『G700』アイアンだ。7番アイアンのロフト角は28度で、激飛び系としては標準的なロフト角だが、予選で愛用したマッスルバックでは5番アイアン相当だ。長さは5番アイアンより半インチ短いが、もちろん7番よりは長い。
ピンは、1本から購入できるので、6番と7番アイアンの2本を買って、手持ちのキャビティバックアイアン、ヨネックス『N1-CB』と組み合わせた。『G700』の6番と7番の下に、『N1-CB』の6番からPWまでを入れる。番手の数字を見ると、「6,7,6,7,8,9,PW」という流れになる。
試合会場となるコースは、全長6750ヤード。競技ゴルフの会場としては短い部類だが、筆者のドライバー飛距離(※240ヤード前後)だとやや長く感じる。パー4のセカンドショットでは、必然的に160〜190ヤードくらいが残る。この距離をロング・ミドルアイアンで打ってパーオンさせるとなると、どうしても確率が下がってしまう。この長い距離を激飛び系アイアンでカバーする作戦だ。
『G700』の7番アイアンは、5番アイアン相当のロフト角と書いたが、その弾道はマッスルバックの5番と比べて、遥かに高く上がる。5番アイアンでボールを上げるとなると、スイングにも少し気合いが必要だ。ところが、『G700』の7番であれば、ショートアイアンやウェッジのような高さで上がり、同じ距離を打つことが出来る。バックスピン量はマッスルに比べて少ないが、高さが十二分に出るので、グリーンにも止まってくれる。
ボールが曲がりにくいのもいい。激飛び系アイアンは総じて重心深度が深く、慣性モーメントが大きい。そのため左右の曲がりが少なく、それでいて形状はアイアン型なので、操作するイメージが出やすく方向性が良い。ただ飛ぶだけではなく、球が高く上がって曲がりにくい。競技の緊張感の中では、この安心感があるのは大きい。
2日間の競技の中で、400ヤードを超えるパー4のセカンドを『G700』で、何度もパーオンし、短いパー5では7番アイアンで2オンに成功した。やや打ち下ろしで180ヤード強あり、グリーン手前には池が待ち構えていたものの、軽いドローでピンの横につけて、イーグル逃しのバーディーだった。池のプレッシャーや2オンを成功させたいという欲望は、ややもするとミスを誘発してしまいがちだが、上がって曲がらないというクラブへの信頼が、難しいショットを成功させてくれたと思う。
ピンは、1本から購入できるので、6番と7番アイアンの2本を買って、手持ちのキャビティバックアイアン、ヨネックス『N1-CB』と組み合わせた。『G700』の6番と7番の下に、『N1-CB』の6番からPWまでを入れる。番手の数字を見ると、「6,7,6,7,8,9,PW」という流れになる。
試合会場となるコースは、全長6750ヤード。競技ゴルフの会場としては短い部類だが、筆者のドライバー飛距離(※240ヤード前後)だとやや長く感じる。パー4のセカンドショットでは、必然的に160〜190ヤードくらいが残る。この距離をロング・ミドルアイアンで打ってパーオンさせるとなると、どうしても確率が下がってしまう。この長い距離を激飛び系アイアンでカバーする作戦だ。
『G700』の7番アイアンは、5番アイアン相当のロフト角と書いたが、その弾道はマッスルバックの5番と比べて、遥かに高く上がる。5番アイアンでボールを上げるとなると、スイングにも少し気合いが必要だ。ところが、『G700』の7番であれば、ショートアイアンやウェッジのような高さで上がり、同じ距離を打つことが出来る。バックスピン量はマッスルに比べて少ないが、高さが十二分に出るので、グリーンにも止まってくれる。
ボールが曲がりにくいのもいい。激飛び系アイアンは総じて重心深度が深く、慣性モーメントが大きい。そのため左右の曲がりが少なく、それでいて形状はアイアン型なので、操作するイメージが出やすく方向性が良い。ただ飛ぶだけではなく、球が高く上がって曲がりにくい。競技の緊張感の中では、この安心感があるのは大きい。
2日間の競技の中で、400ヤードを超えるパー4のセカンドを『G700』で、何度もパーオンし、短いパー5では7番アイアンで2オンに成功した。やや打ち下ろしで180ヤード強あり、グリーン手前には池が待ち構えていたものの、軽いドローでピンの横につけて、イーグル逃しのバーディーだった。池のプレッシャーや2オンを成功させたいという欲望は、ややもするとミスを誘発してしまいがちだが、上がって曲がらないというクラブへの信頼が、難しいショットを成功させてくれたと思う。
激飛び系アイアンの弱点とは?
激飛び系アイアンは、飛んで曲がらない、しかも球が上がるという、非常に高機能なクラブだ。しかし、欠点がないわけではない。すでに多く指摘されているデメリットとしては、PWが飛びすぎてしまい、その下の番手が必要になること、番手間の距離の幅が大きいことなどが上げられる。
今回試合で使用して感じたのは、クラブの流れという問題だ。『G700』アイアンをバッグに入れるべく、東京練馬の工房、「STUDIO CGA」の凄腕クラフトマン、山?康寛さんに相談に行ったところ、「他のクラブと特性が違いすぎる」と難色を示された。
『G700』は、重心距離が非常に長く、重心深度も深い。振り心地が、他のアイアンやウェッジとかなり異なるのだ。今回は、応急処置的にクラブのヒール寄りにベッタリと鉛テープを貼り、重心位置を調整してもらった。振り感が揃うわけではないが、いわば次善の策としては有効だった。
さらに試合中でも、このセットの流れの問題は発生した。特性の異なる2種類のアイアンは、平地で打った飛距離では階段が出来ているものの、打ち上げ・打ち下ろしや、風による弾道への影響がずいぶん違うのだ。ラウンドでは、番手選びを迷う局面がよくあるが、激飛び系の7番と軟鉄キャビティの6番では、球筋が違いすぎて選択が混乱しがちだった。例えば、激飛び系アイアンの場合は、バックスピン量が少ない分、アゲンストの風に強いので、1番手上げたつもりがそれ以上に飛びすぎてしまったりするリスクがある。
かつての男子プロは、ドライバーに3番ウッド。あとは2番アイアンからSWまでの11本をすべて同じアイアンセットで揃えるのが主流だった。単品のサンドウェッジすら入れていない選手も多かった。これが、セットの流れを考えると一番いいのかもしれない。
地区決勝に出場していた選手たちの大半は、軟鉄鍛造のシャープなアイアンを3番ないし4番から入れていた。セット全体の流れを重視し、操作感や球筋に統一感があることが、試合では必要になってくる。激飛び系アイアンや、片山晋呉のようにユーティリティを多く組み合わせている選手は、ほぼ見当たらなかった。
セット内のすべてのアイアンを激飛び系にすれば、流れは良くなるだろうが、ショートアイアンで操作したいゴルファーには物足りなく感じるだろう。ボールを曲げたり、微細に距離をコントロールするのはマッスルバックやハーフキャビティの方が優れている。
つまり、飛んで曲がらないという結果を重視するか、セットとしての流れや操作性を重視するかで、結論は変わってくる。プロの多くは後者を重視しているので、シャープなアイアンを選ぶ選手が多いというわけだ。激飛び系アイアンやユーティリティ、ショートウッドなどをセットに組み込んでシリアスユーズで活かすなら、片山晋呉のように、それに対応する技術を身につける努力も必要になってくるだろう。
こうして見てみると、アベレージ層のアマチュアこそ、柔軟な発想でクラブ選びして、激飛び系イアンの機能を活かすセッティングを考えるのが良いのではないだろうか。そして、本当に上達したら、改めてロングアイアンをバッグに入れればいい。プロや上級者の求める機能がそこにあるからだ。
今回試合で使用して感じたのは、クラブの流れという問題だ。『G700』アイアンをバッグに入れるべく、東京練馬の工房、「STUDIO CGA」の凄腕クラフトマン、山?康寛さんに相談に行ったところ、「他のクラブと特性が違いすぎる」と難色を示された。
『G700』は、重心距離が非常に長く、重心深度も深い。振り心地が、他のアイアンやウェッジとかなり異なるのだ。今回は、応急処置的にクラブのヒール寄りにベッタリと鉛テープを貼り、重心位置を調整してもらった。振り感が揃うわけではないが、いわば次善の策としては有効だった。
さらに試合中でも、このセットの流れの問題は発生した。特性の異なる2種類のアイアンは、平地で打った飛距離では階段が出来ているものの、打ち上げ・打ち下ろしや、風による弾道への影響がずいぶん違うのだ。ラウンドでは、番手選びを迷う局面がよくあるが、激飛び系の7番と軟鉄キャビティの6番では、球筋が違いすぎて選択が混乱しがちだった。例えば、激飛び系アイアンの場合は、バックスピン量が少ない分、アゲンストの風に強いので、1番手上げたつもりがそれ以上に飛びすぎてしまったりするリスクがある。
かつての男子プロは、ドライバーに3番ウッド。あとは2番アイアンからSWまでの11本をすべて同じアイアンセットで揃えるのが主流だった。単品のサンドウェッジすら入れていない選手も多かった。これが、セットの流れを考えると一番いいのかもしれない。
地区決勝に出場していた選手たちの大半は、軟鉄鍛造のシャープなアイアンを3番ないし4番から入れていた。セット全体の流れを重視し、操作感や球筋に統一感があることが、試合では必要になってくる。激飛び系アイアンや、片山晋呉のようにユーティリティを多く組み合わせている選手は、ほぼ見当たらなかった。
セット内のすべてのアイアンを激飛び系にすれば、流れは良くなるだろうが、ショートアイアンで操作したいゴルファーには物足りなく感じるだろう。ボールを曲げたり、微細に距離をコントロールするのはマッスルバックやハーフキャビティの方が優れている。
つまり、飛んで曲がらないという結果を重視するか、セットとしての流れや操作性を重視するかで、結論は変わってくる。プロの多くは後者を重視しているので、シャープなアイアンを選ぶ選手が多いというわけだ。激飛び系アイアンやユーティリティ、ショートウッドなどをセットに組み込んでシリアスユーズで活かすなら、片山晋呉のように、それに対応する技術を身につける努力も必要になってくるだろう。
こうして見てみると、アベレージ層のアマチュアこそ、柔軟な発想でクラブ選びして、激飛び系イアンの機能を活かすセッティングを考えるのが良いのではないだろうか。そして、本当に上達したら、改めてロングアイアンをバッグに入れればいい。プロや上級者の求める機能がそこにあるからだ。