<前澤杯 初日◇23日◇MZ GOLF CLUB(千葉県)◇6652ヤード・パー72>
主催者推薦で出場している女子プロゴルファーの青木瀬令奈が快挙を達成した。雨の中で迎えた第1ラウンドは、5バーディ・2ボギー・1ダブルボギーの「71」。女子としては国内男子ツアー史上初となるアンダーパーをマークし、1アンダー・71位タイで滑り出した。
歴史的な記録にも、「いま率直には悔しい方が多くて」と手放しで喜べなかった。前半は「すごくいいゴルフもできていました」と振り返り、4番パー4では池越えの第2打を147ヤードからピンそば1.5メートルにつけるなど、積極的な攻めでチャンスを量産。5つのバーディを奪った。
一方で後半は「バーディチャンスが少なかった」とし、「少しもったいないボギーが2つあった。消せたボギーだった」と悔しさをにじませた。それでも「いいゴルフのイメージはあるし、最終日に向けてあと3日間いいゴルフをしたい」と前を向いた。
これまで国内男子ツアーに出場した女子プロは、2005年の「アジア・ジャパン沖縄オープン」の宮里藍、同年「カシオワールドオープン」のミシェル・ウィー(米国)、昨年の今大会に出場した菅沼菜々ら6人。
その中でアンダーパーを記録したのは青木が初めてとなる。「(意識は)全くないです。(記録は)知らなかったです」と笑顔を見せ、目の前のプレーに集中していた様子だ。記録についても「去年はパー70で、去年だったらオーバーだしな…という部分もある」と喜びより厳しい自己評価が口をつく。
この日意識していたのは「迷惑をかけないように、サクッと良くも悪くもテンポよく回ること」。キャディの成田美寿々とともに小走りする場面も見られ、男子ツアー特有の早いプレー進行にも柔軟に対応した。「前半は2時間を切るペースで、女子ツアーとの違いはすごく感じた。前後の組との間隔もよく、こういうペースなんだなと思った」と、話した。
そうした慣れない環境ながら「逆に良かった」と好影響も実感。「これまで考えすぎていたかなと思う。細かくチェックしすぎず、要点を絞ってラインを読めたことで、すごくいいテンポで回れた」と収穫もあった。
今大会はコーチ兼キャディの大西翔太氏ではなく、国内女子ツアー通算13勝で親交の深い成田がバッグを担ぐ。プロ目線で支えてくれることに「めちゃめちゃ助けになりました。会話もそうですけど、テンポとか、ちゃんとキャディもできるっていうのが練習日からすごくびっくり。雨で仕事も増えたと思うけど、しっかり何でもできる人なんだなって」と信頼を寄せた。
一方でプロ同士ならではの見解の違いもあったという。「グリーンの読みでは“1カップ論争”をしていました(笑)。『ここだよ』『いや、こっちだよ』って(笑)。その辺のすり合わせはきのう話しをして、結局きょうはいいふうに読めたかなと。お互いの意見がすごく一致していたので、それがまた背中を押してくれてよかった」と笑顔で明かした。
“1カップ論争”とは。例えば『フックラインでカップ1個外して』狙うラインの場合、実際のカップの隣に仮想カップをつくる。青木はボールの真ん中が仮想カップの右ふちと重なるように読む。成田は、ボールの右端が仮想カップの右ふちと重なるように読む。つまり、同じ”カップ1個外し”でもボール半個分、青木の方がラインを膨らませて読んでいたことになる。最終的には「タッチの違い」による感覚の差と結論づけたようだ。
初の男子ツアーでの一日は、「前半は今年の自分の課題をクリアできている部分があった」とバックナインの悔しさを残しながらも収穫の多い一日となった。同組で回った“兄”のような存在の宮里優作と、細野勇策からも多くを吸収した。
「きょうは優作さんのプレーと、勇策くんのプレーを見ながら勉強になったし、テンポとか今後に活かせる部分はたくさんあったので、それをまた3日間に繋いでいきたい」。予選カットのない今大会。残り3日間でさらなる記録更新を狙う。(文・高木彩音)
