藤田寛之「替えて飛んでるって、ツアーで噂になった」
「こないだも初日にすごく飛んでいて、【藤田が『RMX120』に替えて飛んでる!】って、噂になっちゃいました。実際、『RMX120』に替えてから、ボール初速も1m/s以上上がりましたし(レップの話では1.2〜1.4m/s平均で上がった)、直進性が本当に高いなと実感しています。
やはり、日々周り(世界のメーカーや若手選手たち)が進化していく中で、ついて行かないといけない。ボクらヤマハの契約プロたちは、元々が技巧派ばかりでしたから、これまでそういうクラブをリクエストしてきましたけど、世界の進化についていく必要がある。だからドライバーも替えましたし、今やさしいアイアン(RMX120)もその延長でテストを繰り返しています」(藤田寛之)
「ここまでやるのは、ヤマハが(開発者、企画者、レップ)総出で本気だからですよ。ボクら現場も一緒に良いものを作るために、本気です。どこにも負けない未来のヤマハらしさを、一緒に作りたい。今日もかなりの数のテストをしましたけど、日々更新して良いものを作り上げていく。決して“完成”というものはないんです。我々には」(藤田寛之)
筆者が軽々しく「完成」という言葉を口にしたのに対し、「決して我々に完成はない」と、藤田は即座に否定。その表情は、少し怒気を帯びた真剣なものだった。
今平周吾 「めっちゃいい。あとは実戦テストの時間だけ」
今平も細部にわたるクラブへのこだわりは強く、なかなかGOサインを出さないくちだ。ところが、この日は重心位置をわずかに変えた2種類を打ち比べ、1本目に「すわりが何とかならないですか。少しトゥがかぶってますね」と、注文を付けていたが、微妙に違う2本目に鋭いセンサーが反応した。
『RMX120』で初速が上がるのは今平本人も知っていたが、エースを明らかに上回る数値に、頑固な男を納得させる要素は十分だった。連戦の中、スイッチするための時間さえあれば。(この週、台風で2日間に短縮されたが、今平は今季初優勝を挙げた)
「完成はない」。チーム・ヤマハのアプデ主義に共感
「(忖度なしの本気のぶつかり合い。テストも宿題も多く、大変ですね?)いえ、これが当たり前です。我々にも分からないことがありますし、藤田プロの感覚は、決して誤魔化せません。少しの調整差でも弾道結果に現れますし、プロ本人も“どんな細かい違和感も隠すことなく、全て原因はなぜか?”と聞いて来られます。プロが言語化できない少しの違和感にも必ず原因があり、そこを突きとめるため、また検証を繰り返して、プレーヤーが感知する問題の正体を突き詰めています。藤田寛之という精密試打マシーンを開発に使えるって、本当に恵まれた素晴らしい環境で、実際この高速PDCAサイクルで今まで見えなかった様々な開発ポイントが山程見つかっているんですよ(笑)」(開発・角田氏)
時間も手間もコストもかかるが、積み重ねるうち、徐々にクラブの性能の核心のようなものが見えてくることがある。そして、同時に見なければならない課題も増えていく。それが本質を突き詰めるために当然必要な作業であり、藤田寛之が言う「我々に完成はない」との表現がまさにピッタリ。筆者はこの日感じたことをマニアックチームで議論することにした。