今年6月に生まれたばかりの長男ベネットは、シェフラーに抱き上げられた途端、どうしてだか激しく泣き出した。その場面を目にしたとき、マスターズ最終日の朝に愛妻の胸で泣いた2年半前のシェフラーが思い出され、弱々しかった彼の大きな成長ぶりをあらためて痛感させられた。
今季7勝。シェフラーの大躍進の始まりは、パターを変更して勝利した3月の「アーノルド・パーマー招待」だった。ドライバーは飛んで曲がらず、小技の上手さは「マジック級」と評されてきた彼の昨年までの唯一の弱点はパットだったが、マレットパターに握り替えてからは、弱点が最大の武器に変わった。
ザ・プレーヤーズ選手権、マスターズ、RBCヘリテージ、メモリアル・トーナメント、トラベラーズ選手権を次々に制し、パリ五輪では金メダルを獲得。
「全米プロ」2日目の朝には、交通整理の警官の指示に従わなかったとみなされ、その場で手錠をかけられて連行される逮捕劇があった。わずか2時間ほどで釈放された後は、ショックをモノともせず、好プレーを披露して8位タイ。あのときもシェフラーのメンタルの強さに驚かされた。
世界ランキング1位の座をキープし続けているシェフラー。誰の目から見てもすでに今季のベストプレーヤーだったが、年間王者に輝いたことでそれを形にして実証したと言っていい。
「まるで、この1年が僕の生涯だったような感じがする」
今季の獲得賞金総額はツアー史上最高となる2922万8357ドル(約42億円)。年間王者のボーナス約36億円とレギュラーシーズン終了時に手に入れたコムキャスト・ビジネス・トップ10の1位のボーナス約11億7000万円を合わせると、今年、シェフラーが手に入れたお金はなんと“90億円”超だ。
どこからどう見ても、「王者シェフラー」である。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
