PGAツアー
米国男子
全英オープン
日程 2014年7月17日-7月20日賞金総額 ―
TV/ネット放送予定【舩越園子コラム】ロイヤルリバプールを制した06年ウッズの勝利と女神の好み
【舩越園子コラム】ロイヤルリバプールを制した06年ウッズの勝利と女神の好み
所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net
配信日時: 2014年7月14日 02時16分
だが、予想外の前夜の雨で初日はグリーンが想像以上に柔らかくなり、おまけにほぼ無風。そのため初日は予想外のバーディー合戦となり、その中でウッズは「ついつい」封印していたはずのドライバーを16番で握ってしまった。ショットは大きく曲がって17番のフェアウエイへ。それでもバーディーを奪ったところはウッズならではのワザだったが、さすがのウッズもドライバーの危険性を痛感し、以後は2度とドライバーを使わなかった。
だが、その事実以上に印象的だったのは、ウッズの2打目への臨み方だった。予選2日間はアーニー・エルス、片山晋呉と同組だったのだが、ティショットに2番アイアン、3番アイアン、5番アイアン、3番ウッドの4種類を駆使していたウッズは、常に第2打を3人の中で最初に打っていた。極端なときには片山より40ヤードも手前に刻むこともあった。そして14番では「2番アイアン+4番アイアン」のコンビネーションでチップインイーグルまで決め、ウッズはすっかりご満悦だった。
「グリーンの表面には小さなデコボコが無数にあり、ウエッジでスピンをかけながら落とすと、そのデコボコに跳ね返されて、どう転がされるか予想がつかない。だから4番アイアンで手前から転がして乗せた。風の中でクリエイティブなゴルフができた」
ウッズは第2打を4番アイアンで打てるよう、ティショットを2番アイアンで「刻んだ」のだ。米国の通常のゴルフなら、ティショットで距離を稼ぎ、ショートアイアンやウエッジでグリーンを狙うほうが有利だが、「英国のリンクスでは、いかにティショットを飛ばさず、どれだけ長いクラブでピンに向かっていけるかがカギになる」と、あのときウッズは力説し、それを忠実に実践して、見事な勝利を手に入れた。
パワーヒッターのウッズがドライバーを封じ、得意のウエッジではなく通常より長いクラブでグリーンを狙い続けたのだから、ウッズとて、きわめて難しいマネジメントを求められた戦いだった。さらに言えば、メンタル面の戦いは、それ以上に苦しかったことだろう。父親アールが生きているうちにメジャーで勝利する姿をもう一度見せたいと願いながら、マスターズでは3位タイに終わり、その翌月、アールは息を引き取った。6月の全米オープンは予選落ちに終わり、そして挑んだのが、この全英オープンだった。
ロイヤルリバプールの女神は、そんなふうに持てる力のすべてを必死に駆使して勝利を切望する戦士に優しく微笑むのかもしれない。そうだとしたら、今年、女神の目に留まるのは、復活を目指すウッズか、全英タイトルのディフェンドを目指すフィル・ミケルソンか、それともジョーダン・スピースら、米ツアーの新鋭か。
だが、その事実以上に印象的だったのは、ウッズの2打目への臨み方だった。予選2日間はアーニー・エルス、片山晋呉と同組だったのだが、ティショットに2番アイアン、3番アイアン、5番アイアン、3番ウッドの4種類を駆使していたウッズは、常に第2打を3人の中で最初に打っていた。極端なときには片山より40ヤードも手前に刻むこともあった。そして14番では「2番アイアン+4番アイアン」のコンビネーションでチップインイーグルまで決め、ウッズはすっかりご満悦だった。
「グリーンの表面には小さなデコボコが無数にあり、ウエッジでスピンをかけながら落とすと、そのデコボコに跳ね返されて、どう転がされるか予想がつかない。だから4番アイアンで手前から転がして乗せた。風の中でクリエイティブなゴルフができた」
ウッズは第2打を4番アイアンで打てるよう、ティショットを2番アイアンで「刻んだ」のだ。米国の通常のゴルフなら、ティショットで距離を稼ぎ、ショートアイアンやウエッジでグリーンを狙うほうが有利だが、「英国のリンクスでは、いかにティショットを飛ばさず、どれだけ長いクラブでピンに向かっていけるかがカギになる」と、あのときウッズは力説し、それを忠実に実践して、見事な勝利を手に入れた。
パワーヒッターのウッズがドライバーを封じ、得意のウエッジではなく通常より長いクラブでグリーンを狙い続けたのだから、ウッズとて、きわめて難しいマネジメントを求められた戦いだった。さらに言えば、メンタル面の戦いは、それ以上に苦しかったことだろう。父親アールが生きているうちにメジャーで勝利する姿をもう一度見せたいと願いながら、マスターズでは3位タイに終わり、その翌月、アールは息を引き取った。6月の全米オープンは予選落ちに終わり、そして挑んだのが、この全英オープンだった。
ロイヤルリバプールの女神は、そんなふうに持てる力のすべてを必死に駆使して勝利を切望する戦士に優しく微笑むのかもしれない。そうだとしたら、今年、女神の目に留まるのは、復活を目指すウッズか、全英タイトルのディフェンドを目指すフィル・ミケルソンか、それともジョーダン・スピースら、米ツアーの新鋭か。