10日に終わった国内女子ツアー今季メジャー初戦「ワールドレディスサロンパスカップ」の練習日に、青木瀬令奈が見慣れない器具を使ってパッティング練習を行っていた。いや、厳密に言うと“よく見るけど見慣れない”という感じ…。これは一体どういうことだろうか?
それはヤマニゴルフが展開する、ツアープロコーチ・内藤雄士氏監修の『QUICK MASTER』シリーズにラインアップされている練習器具の『CUP IN GATE MIRROR(カップインゲートミラー)』。パター練習場では選手たちが芝に敷き、その上にボールを置いて打ち出す姿をよく見かける。
特徴としては、アドレス時の頭や目の位置の確認もできる点で、そのために表面はミラー(鏡面)仕様なのだが、青木が手にしていたものは表面がフェルト素材になっている。実はこれ、青木がリクエストした特注モデルで、それゆえ“見たことあるけど、見たことない”という不思議な現象が起こっていたのだ。
青木が鏡面部分をフェルト素材にしてもらったのは、こんな理由から。
「ヘッドを置いたときに(鏡面だと)ツルツルして滑ってしまうし、マット自体も動いてしまう。前傾の角度と身長(153センチ)の関係からなのか、私は打ってる姿がミラーに映らないんです。バイザーしか映らないから、あまり意味もなく、キャディバッグに入れると割れてしまうこともあったので、お願いして作ってもらいました」
「ベント芝に近い素材がいい」という要望が、その表面をフェルト素材に変え、「滑らないように」と裏面には滑り止めが施された。青木の感覚を満たす仕様へと仕上げられたいったのだ。
ヤマニの担当者は「鏡ではなくフェルト素材で、線を合わせやすくしたいという要望があり、そこを重視して製作した」と説明。薄型でも段差で歪まないように…という観点からも、裏面に“正規品”にはない滑り止めテープが装着されている。フェースを置く部分が浮きことも抑えられるなど、細部まで気配りが行き届いた一品だ。
昨春からテストを重ね、完成したのは昨秋ごろ。クルっと丸まりやすく、キャディバックの隙間に入れて持ち運べるのも大きな利点になっている。もちろん“割れる”心配もない。同社担当者に“スピンオフ商品”として、販売を考えていないのか聞いてみると「考えてはいるのですが、選手からはミラーがついていて、かつ、もっと大きいものが欲しいという声が多いんです。ゆがまないようにミラーでいろいろと試してもいるのですが、それがなかなか難しくて。ただ、“青木さんモデル”も、もちろん商品化は考えています。今は本人用として作っていますけど、問題がなければ(商品用に)作ることも可能です」という答えが返ってきた。
選手のリアルな声から生まれた“特注練習器具”。使用目的の差別化は十分に図れそうだ。さて今後、製品化される? それとも、されない? 注目して動向を見てみよう。(文・高木彩音)
