「前足と手元を逆方向へ」 大谷翔平の“すり足打法”なら、しっかりパワーを溜めてセンター返しできる! 【野球とゴルフのコーチが解説】
大谷翔平のバッティングフォームをゴルフに応用できるかを考察する第二弾。
配信日時:2024年11月25日 06時12分
メジャーリーグ史上初の50-50(54本塁打、59盗塁)達成に加え、リーグ2位の打率.310、同1位の130打点を叩き出した大谷翔平が、2年連続3度目の満票MVPに輝いた。そのバッティングフォームからゴルフに応用できることはあるのか。高校、大学、社会人と野球に打ち込み、その後ゴルフに転向したティーチングプロの平野茂に聞いてみた。
大谷のバッティングフォームの特徴のひとつに、右足(前足)を上げずに“する”ようにして踏み出す『すり足打法』がある。メジャーリーグでプレーし始めた頃は、まだ右足を上げていたので、メジャーでプレーするようになってからの変更点となる。「下半身の動きが小さくなれば、出力は抑えられますが、動きの再現性が高くなり、球を見極めやすいのがメリット。大谷選手の場合、フォームで出力が小さくなっても、それを補うフィジカルがあります。本塁打王に加え、リーグ2位の打率.310を残せた要因だったと思います」。
ゴルフでいえば、コンパクトスイングにあたる。「ドラコン選手をはじめ、最大飛距離を出そうと思ったら、前足を後ろ足に寄せるようにして大きくステップし、目一杯体重移動を使うと思います。しかし、コースに出ればこの打ち方では安定してフェアウェイに打てないと分かっているので、動きが小さくなります。センター返しが必要なゴルフでは、ミート重視のスイングを心がけることは上達につながり、結果的に飛距離アップを果たすことも考えられます」。
下半身の動きを抑えたフォームだが、前足をほんの少しステップさせ、同時に手元をキャッチャー方向へと上げている。パワーを溜める動きで、ゴルフスイングで参考になるポイントだ。「前足と手元を逆方向へ動かせば、エネルギーが生まれます。ゴルフのバックスイングも同じ要領。松山英樹プロをはじめ、多くのトッププロに見られる動きで、左足のヒザから下は動かさないように我慢しつつ、腰や胸、肩を回すことで捻転が強くなり、飛距離につながります。大谷選手のように、前足を出すことは後ろ足に体重を乗せやすくなるので、練習ドリルとして取り入れたいです」。
オススメはペットボトルを使ったドリル。右打ちの人なら左足(前足)の外側にペットボトルを置き、それを左足で倒して、足を体から遠ざけながら上半身を回していく。「トップで左足体重になる、ギッコンバッタンスイングの方にも試してほしいドリルです」。
また、左足我慢の感覚は、左足の内側にペットボトルを置き、それを倒さないようにバックスイングすることで養える。「体が回りにくければ、ヒールアップしても構いません。その際は、左ヒザがツマ先よりも内側に入らないように注意してください」。大谷翔平のようなテークバックでしっかりとパワーを溜めて、冬の寒さに負けない強い弾道で飛ばそう。
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●関連記事の【原辰徳氏が大谷翔平のルーティンに言及「彼の場合はストライクゾーンがゴルフのボール位置」】では、巨人軍前監督の原辰徳氏が大谷翔平のバッティングについて語っている。