国内女子ツアーは次から次と現れるスターの活躍で毎年盛り上がりを見せている。そんな隆盛を支えるのは、下部ツアーの存在があるからこそ。そのステップ・アップ・ツアーは今季21試合中19試合が終了。いよいよ2024年のフィナーレを迎える。
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■し烈な賞金女王争い…現在の状況は?
シーズン5勝を挙げた2022年の櫻井心那を筆頭に、最近は圧倒的な力で女王レースのトップに君臨することがほとんどだったが、今年は少し様相が違う。
賞金ランキング1位は今季2勝の権藤可恋で1532万7666円。コロナ禍によって統合された2020-21シーズン以来、2000万円以下で新女王が決まるペースだ。それだけ女王争いが拮抗しているということだろう。
今週7日(木)開幕の「山口周南レディース」(山口県・周南CC)、来週の最終戦「京都レディース」(京都府・城陽CC)はともに優勝賞金360万円。ランキング6位の稲垣那奈子までが女王戴冠の可能性を残している。
来季のレギュラーツアー前半戦出場権が手に入るランキング2位までに広げれば、25位の常文恵までの選手にチャンスがある。それでなくても、3~10位までに入れればファイナルQTからの出場が可能になるとあって、ラスト2試合の結果は来年の職場に大きな影響を与えそうだ。
■いまだ出ないルーキーV…注目選手は?
2018年に4勝を挙げた河本結、22年に5勝の櫻井など、近年はルーキーがツアーの主役として活躍してきた。それが、今年はまだ新人の優勝者が誕生していない。96期生たちの本来の力は鳴りを潜めた。
その中でも24歳の稲垣那奈子は気を吐いている。今季はトップ10入り5回を記録し、賞金ランキングは6位(882万8190円)。ルーキーで唯一ランキング10傑に入っている。先週は優勝争いの末に3位に入るなど調子も上々。残り2試合で新人一番乗りの勝利を挙げてもおかしくない。
ランキング22位の高野愛姫もルーキーVの有力候補だ。巧みなショートゲームが持ち味の20歳。開幕戦の「YANMAR HANASAKA Ladies」で2位に入り、以降は予選落ちがたった1度だけでリーダーボードの上位を賑わせてきた。今季一度も予選落ちがない上久保実咲。何度も優勝争いを繰り広げてきたパット巧者・吉澤柚月らにも注目だ。
■進撃のベテラン 10年ぶり30代女王誕生も?
レギュラーツアーでは先月の「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」でイ・ミニョン(韓国)が優勝。今季初の30代Vとなったことで話題になったが、ステップでは対照的にベテランが元気いっぱいだ。
賞金ランキングではサイ・ペイイン(台湾)、森井あやめ、福山恵梨がトップ10内。黄アルム(韓国)、山本景子、山城奈々、若林舞衣子、藤本麻子らも今年カップを掲げた。
特に9月の「Sky レディースABC杯」から6試合連続で30代の選手が優勝。若手隆盛の時代に待ったをかけるかのように、ベテランが磨き上げた技と精神力でスポットライトを浴びている。
特にランキング3位のペイインは3位→優勝と目下絶好調。厳しい条件ながらも、賞金女王戴冠の可能性を残している。30代の女王誕生となれば、2014年に31歳でタイトルを獲得した恒川智会以来10年ぶりの快挙。30代6連勝の勢いに乗り、ラストスパートをかけるつもりだ。