言われた通り、キジーアは今大会の舞台、カリフォルニア州ナパのシルバラード・リゾートに足を踏み入れた途端、芝の上をはだしで歩き、大木をハグした。
すると、予選落ち続きだった今季のキジーアとは別人のようなプレーを初日から披露。スムーズにセットアップできるようになり、グッドショットを連発した。パットも絶好調になり、リーダーボードを駆け上っていった。
それが、メンタルコーチが言った「大地や木々からもらったパワー」のおかげなのかどうかは、神のみぞ知るところではある。だが、「パワーを得た」と信じたことで、本当にパワーが湧き出し、そうやって彼の中でポジティブな連鎖が起こったのではないかと、私にも思える。
レギュラーシーズンの負の連鎖を見事に断ち切り、6年8カ月1日ぶりに勝利を挙げて、通算3勝目を飾ったキジーアのフェデックスカップ・ランキングは132位から一気に70位へジャンプアップした。
「ワラをもつかむ想いで、必死に取り組んできたことが報われた。とてもいい気分だ。ゴルフが、とても楽しい」
そんなキジーアのカムバック優勝は、見ていた人々にとっても、とても楽しいゴルフだったに違いない。少なくとも私は、とてもエンジョイさせていただいた。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
