<ツアー選手権 事前情報◇27日◇イースト・レイクGC(米ジョージア州)◇7490ヤード・パー71>
ポイントランキング1位で最終戦を迎えたことにより、2位に2打差のハンディキャップ10アンダーを持ち年間王者戴冠を目指すスコッティ・シェフラー(米国)。最善を尽くし“3度目の正直”とも言える結果を待つつもりだ。
「バーディを取りたいけど、他の試合と同じように。スタートにこだわるとか、そういうことではなく、出場してまずはベストを尽くしたい。結果についてはあまり考えていないよ」
27日に行われた会見では、大一番を前に静かにこう語った。過去2シーズンは、このプレーオフシリーズ最終戦に年間王者の座を阻まれてきた。2022年はランク1位で迎えながら、ローリー・マキロイ(北アイルランド)に逆転を許し、2位。昨年も同様に10アンダーからスタートしたものの、最後は6位に甘んじ“陥落”した。そして今年も1位で、最終戦を迎えることになる。
シーズンを通じてトップを走りながら、“一発逆転”ともいえる要素にここ2年間は泣かされてきたことになる。ただ、そのシステムへの恨み言はひとつも聞こえてこない。
「シーズンを通して最も活躍した選手ではなく、プレーオフで最高のプレーをする選手が選ばれる。(前週優勝の)キーガン・ブラッドリーのように、先週素晴らしいプレーを見せてフェデックスカップで優勝する可能性もある。ファンにとっても、プレーオフに出場するまではベストではなかった選手にとってもいいこと。結局のところ、いいゴルフをすれば、それで解決するんだ」
さらに大会形式の変更などについて聞かれた時にも、「トーナメントというのは、つまりは自分が妥当だと思う報酬を得る場所でフェア。スポンサーが何を望んでいるか。このイベントのためにお金を出してくれるから、みんなプレーしに来る。ビジネス的な部分もゲームの一部だと考えている。賞金云々ではなく、僕は卓球だろうと何だろうととにかく勝ちたいと思う人間。どんな形式であろうと、ベストを尽くす。本当にそれだけなんだ」と回答。プロとしての矜持やアスリートとしての本能を感じさせる。
ツアーで6勝を挙げた今年は、2度目のマスターズ制覇、そしてパリ五輪での金メダルと年間王者にふさわしい活躍を続けてきた。しかし、王者の椅子に座るためには、あとひとつ大きなカベを乗り越える必要がある。そういう“ゲーム”だからだ。
8アンダーの2位につけるのは今季メジャー2勝を挙げているザンダー・シャウフェレ(米国)。こちらも王者の名に恥じないプレーを続けてきた。「僕は彼の努力家である部分をとても尊敬している。正しい犠牲を払い、勝利を得ている。今年のマスターズ翌週のトレーニングルームで、彼は大きなハグをして笑顔を見せてくれた。ザンダーの年とスコッティの年、どっちがいい? でも比較ではなく、素晴らしいゴルフを楽しもうじゃないか」。3位には松山英樹もつけているが、他者を気にするのではなく、とにかく自分のプレーに集中を続ける。
このコースは今年、大改造が施された。それについても「ここに来て、新鮮なゴルフコースを見て本当にチャレンジングになると感じた。ただ、とても自分には合っていると思う」と自信を示す。グリーンが硬く仕上がっていることなどを確認し、その対策を練りながら準備を進める。
「チャンスを得ることは、誰もが今年の初めに目指すもの。僕が座っているところほどいいチャンスはない。今週が楽しみだよ」。今年は子供も誕生し、守るものも増えた。すっかり王者の風格をまとっている28歳が、名実ともにツアーチャンピオンとなる大きな称号をようやく手にすることになるか?