<全英オープン 2日日◇21日◇ロイヤル・リバプールGC(イングランド)◇7383ヤード・パー71>
ほんのわずかに届かなかった。安森一貴は最終18番をボギーとしてカットラインに1打及ばす。自身初のメジャー大会での予選通過は叶わなかった。
トータル3オーバーで入った2日目は、午後3時32分の「日本ではない」かなり遅い時間帯でのスタート。それでも体調を時間にきっちりと合わせて、ティオフを迎えた。多くの選手がすでにホールアウトしていて、カットラインはある程度予想できる状況。そして1番でナイスパーセーブをすると、2番は7メートルを流しこんでバーディが先行した。「少し余裕はあった」と、カットラインを意識しながらのプレーにも落ち着いていた。
ずっとパーを並べ続けたものの、11番、13番でボギー。トータル3オーバーでカットライン上へと戻ってきてしまった。そして最終18番パー5では「あそこまで吸い込まれる感じだとは思わなかった」とフェアウェイからのレイアップが左ラフへ。ディボットの中に入るという不運もあって、3打目はグリーンをオーバー。フェアウェイからパターで転がしたが、“3パット”として、一線を超えてしまった。
「やっぱりメジャーって、こんなに厳しい、苦しい感じなんだなっていうふうに思いました」。通過圏内からはみ出さないように、と耐えるゴルフをし続ける緊張感、そしてメジャーでの雰囲気は、これまでに経験したことのないものだった。「この2日間はすごい苦しかったです」と振り返るが、すぐに出てくるのは前向きな言葉。「楽しかったこともありますし、いい経験になりました」。疲れた表情のなかでもかすかにほほえむ。
今季はQTランキング12位の資格で日本ツアーを戦う25歳。この大会ではアジアンツアー、DPワールド(欧州)ツアーで上位で戦う選手と予選ラウンドをともにしたが、「そこまで劣っているわけではないと思う」とキッパリ言い切れる。「これから磨きをかける部分は飛距離よりも、フェアウェイに置いて、そこからピンに絡めるアイアンショット」。自分の長所がより具体的になり、それをより鍛え上げる必要性を実感した。
目標とする“シード獲得”。いま賞金ランキング41位につけているが、早い段階で安全圏に入っておきたい。「日本に帰ってからも試合がたくさんある。そこでまず活躍して、来年チャンスがあれば、またこういう試合に出場したい」。世界最高峰のトーナメントで得た手ごたえ、課題、そして悔しさを糧に、これを大躍進へとつなげていく。(文・笠井あかり)