<KKT杯バンテリンレディス 事前情報◇16日◇熊本空港カントリークラブ(熊本県)◇6596ヤード・パー72>
飛ばし屋の女子高生の存在は、この1年で多くのゴルフファンに認知された。後藤あい、17歳。兵庫・神戸市出身。今年から日本ゴルフ協会(JGA)のナショナルチームにも入った次代のエース候補が、主催者推薦で出場する熊本で今季のツアー初戦を迎える。
「調子は悪くないかなと思います。昨日の練習ラウンドは雨で、きょうは晴れて、風もあるので、どのくらいにグリーンが仕上がっているかはちょっと分からないけど、自分のできることをやりたいです」
2週間前には「オーガスタナショナル女子アマ」に出場した。予選通過者だけがプレーできるオーガスタ・ナショナルGCでのプレーは叶わなかったが、練習ラウンドで世界中のゴルファーが憧れる地をしっかり体験。「すごくきれいでした」と至福の時間を過ごし、日本に帰ってきた。
今年は2月に3位になった「オーストラリア女子アマ」、ニュージーランドでの「アジアパシフィック女子アマ」に出場。いったん帰国した3月は「全国高校選手権」に出て、すぐに渡米と慌ただしく過ごしてきた。
「ちょっとバタバタで、しっかり体をつくる時間がなかった」と話したが、試合を通して多くのことを学んだ。「海外の試合に派遣してもらえることが増えて、たくさんの経験ができました。いろいろなコース、いろいろな芝から打つことで、苦手だったアプローチも少しずつよくなった。ショートゲームは少しだけど、自信がついたかなと思います。でも、海外の選手は体も大きいし、自分より飛ばす人がたくさんいる。まだまだなんだと感じました」。成長の手ごたえ。そして世界を基準にした自分の立ち位置も把握できた。
今週はオーガスタナショナル女子アマで調子が一定しなかった3番ウッドの代わりに、用具契約を結んだキャロウェイのミニドライバー「クアンタム ミニ」を実戦配備する。キャリーで230~240ヤードを高弾道で飛ばし、ランを抑えることができる新兵器。女子ではプロでもまだほとんどの選手がバックインしていないミニドラで、硬いグリーンが特徴の熊本空港CCを攻略するプランだ。
ゴルフ部のない神戸市内の松蔭高に通い、平日の練習時間は1時間ほど。ゴルフ強豪校、通信制に通う同年代の仲間やライバルたちと環境は大きく異なるが、昨年はそんなハンディをまったく感じさせない強烈なインパクトを残した。
ツアー2戦目で初めて予選を通過した6月の「宮里藍 サントリーレディス」の平均ドライビングディスタンスは258ヤードで、トップだった工藤遥加とは1.25ヤード差の4位。3日目には計測ホールの17番で253ヤードを飛ばして1位になった。最終日は同じく計測ホールの2番でも1位の266ヤードを記録し、2位の神谷そらに4ヤード差をつけた。以後、出場した試合ではドラディス上位の常連となった。
9月の「住友生命vitalityレディス」では大会恒例の「ドライビング女王コンテスト」で277.8ヤードをぶっ飛ばした。過去3度優勝の穴井詩や、神谷、入谷響らの飛ばし屋プロを抑えての優勝。1998年に始まった同コンテストでアマチュアがドラコン女王の称号を手にするのは、史上初の快挙だった。さらに、10月のステップ・アップ・ツアー「SkyレディスABC杯」では同ツアー史上7人目のアマチュア優勝を達成。注目度はさらにアップした。
高校3年生となった今年はプロテストが控える。ナショナルチーム入りしたことで、2次予選までが免除。「とにかく目の前の試合を大事にしていきたい。しっかり結果を出していけば、プロテストにつながっていくと思うので」。11月の最終プロテストを見据えて、これからの半年でさらにレベルアップを図っていく。
女子高だった学校は今年から共学となり、新1年生に男子が入ってきた。「学校に男子がいるのは変な感じ。違和感しかないです」と苦笑するが、ゴルフに違和感なし。この大会は2014年に当時高校1年生だった勝みなみが国内女子では史上4人目のアマチュア優勝を達成。12年ぶりの再現が起きても不思議ではない力を、この17歳は持っている。(文・臼杵孝志)
