国内女子ツアー第8戦『NTTドコモビジネスレディス』。応援グッズを手にファンが囲む浜野GCの18番グリーンで、菅沼菜々はトレードマークの笑顔を弾けさせた。初日「65」発進すると、悪天候による金曜日の順延を挟んでも勢いは衰えず、最終日も「66」をマーク。2位に5打差をつけトータル18アンダーで4勝目を飾った。
しかし、現場にいたギャラリーや関係者が本当に驚かされたのは、そのスコアではなく、彼女の変貌を遂げた「圧倒的な飛距離」だった。
■ 16番でどよめく「290yd級」の衝撃と、驚異のスタッツ
「盛ってるって思われそうですが……、飛距離が10ヤード伸びました」。プロアマ日にそう謙遜していた菅沼だったが、本戦が始まるとその言葉が決して誇張ではないことを証明してみせた。同組の飛ばし屋たちを次々オーバードライブしていったのだ。
特に圧巻だったのは、独走を決定づけた最終日の16番(421ヤード・パー4)。飛距離の計測ホールでフォロー風が吹いていたとはいえ、2日目284yd、最終日286ydのビッグドライブを記録。「290ヤード級」まで到達する一撃に、ギャラリーからは地鳴りのような「どよめき」が巻き起こった。
昨季平均242.42yd(34位)で「曲がらない」イメージの菅沼が、今大会は3日間平均263yd(4位)へ急浮上。前年大会の自身を11ydも上回る飛びを手に入れ、なおかつFWキープ率も11位。〝飛んで曲がらない〟究極の1Wショットを連発してみせたのだ。
■ 「叩かれたくない」から超えた、80キロの猛特訓
今年1月にはファンミーティングで歌やダンスを披露し、2月にはデビュー曲「君の救世主になりたくて!」がオリコンデイリー15位を記録。ゴルフ界の〝自称アイドル〟として独自路線を歩む彼女の元には「ゴルフに集中しろ」との批判の声も届く。
「歌を出して成績が悪かったら叩かれる」
アンチの声を燃料に変えた彼女がオフに挑んだのは、アイドルらしからぬ泥臭い肉体改造だった。「少し休めばというくらいやっていた」と父・真一さん(57)が言うほど、オフはトレーニングに打ち込んだ。
従来の自重メニューから一転し、トレーナー監修のもとで自重を遥かに超える「80キロと130キロ」のウェイトを使ったデッドリフトやヒップスラストを敢行。下半身と背筋を徹底的に苛め抜き、強いスイングに耐えうる強靭な肉体の土台を創り上げた。
■一撃の飛びを生む「VR-チタン」フェース
この進化した肉体と完璧にシンクロし、11ydの飛距離UPを結実させた新兵器が、今季から投入した“一撃の飛び”で大きな話題のダンロップ『ゼクシオ 14+(プラス)』ドライバーだ。菅沼がこの新相棒と出会ったのは昨年秋で、第一印象を次のように語っている。
「初めてドライバーを見せてもらった時にマット仕上げのヘッドが新鮮でカッコいいなと思いました。実際に打ってみると、ボールスピードが上がって飛距離が平均で5ヤードはアップしました。出球がすごく強くなった印象でした」
20年以上ぶりに高強度で初速の出る「VR-チタン」製に変わったフェース。そして本戦で見せた爆発的な飛びの秘密は、高初速だけでなく、風を切り裂いてランも強烈に生み出せる【強弾道ヘッド】にもあった。
■「手元が締まった」シャフトも強弾道の源
「私がドライバーでこだわるのはスピン量。(ゼクシオ14+は)2400~2500回転に抑えられているので、すごく強い弾道で飛んでくれます。去年と比べると確実に10ヤードくらい伸びていると思います。芯を食った時には、さらにプラス7~8ヤードは飛んでいます」
強靭な肉体と強弾道ヘッドへの移行は、シャフトの見直しも要求した。オフトレの筋力アップで「手元側が柔らかいシャフトでしたが、しなりすぎる感じで…」と、違和感が出てきた。様々なモノを試す中、行き着いたのがグラファイトデザイン『TOUR AD PT-5S』だった。クセがなく手元の締まった中調子にしてHSアップしても暴れず、正確なミートを可能にした。
この春、よもやの“アイドル”変貌。これはダンロップが新素材「VR-チタン」で仕掛けた『ゼクシオ14+(プラス)』の初速UPをベースに、菅沼のストイックな肉体改造とリシャフトが完璧に噛み合った結果の「290ヤード」だったのである。
『ゼクシオ14+』の性能や飛びについて“目利き”の青木瀬令奈も使用を重ねて絶賛する。「今までは安定感だったと思うんですけど、プラスアルファで飛び系のゼクシオになっていて、ミスヒットに強くて高さも出ます。一撃の飛びというか“今日イチ”に近い球が頻繁に出る感覚があります」。
「いま表示9.0でリアルロフトは9.5度にしています。8.5度を使った時もあって、カチャカチャで色々試しています。自分の中でシーズン通して入射角が多くなったり、少なくなったりする。その時の入射角に合わせて、ロフトを調整してスピン量や打ち出し角を見ながらいじれるのがいいですね」(青木)
■ FWにも増える『ゼクシオ14+(プラス)』勢
また、『ゼクシオ14+(プラス)』はFWも選手から大好評だ。以前は4W&7Wだった菅沼だが、今年はプロ初の3Wをふくむウッド(3&7W、5&6U)を入れた。ヘッドが「しっかり上がってくれる」性能になったことで、より飛ばせる3Wの投入に踏み切れたのだ。そして、他のスリクソン勢にも『ゼクシオ14+』のFWを選ぶ選手が増えている。3本(7W、5&6UT)も入れる都玲華はこう言う。
「見た目はシュッとした顔ですけど、直進性があってめっちゃやさしいです。以前は『ゼクシオX』のUTがお気に入りだったけど『ゼクシオ14+』は見た目がプロっぽくなりました。見た目がカッコいいのに、やさしくてバランスがとてもいいです」(都)
また、「中々『ゼクシオ10』から替えられなかった」という酒井美紀も、9Wを『ゼクシオ14+』に変更。
「打感が柔らかいけどしっかり振れて、直進性が増しました。意外とコントロールもしやすく、打感的には粘りの打感が残っています。投入した『ヤマハレディース』の2日目、予選通過まであと1打という時に17番パー3(195y)でこの子を使って30cmぐらいにつけられた。私の中で1番のショットです。緊張の中でしっかり打てたので今年からずっと使っています」(酒井)
その他、小祝さくらも5Wを「ゼクシオ14+は曲がらないのが魅力」と使用。ヘッドスピード38~42m/s前後の女子プロたちにとって、ドライバーだけじゃなく、ウッド全体の攻撃力をプラスできるのが『ゼクシオ14+(プラス)』なのである。
◎撮影・米山聡明、福田文平、高橋淳司、GettyImages