6月12日に開幕したFIFAワールドカップ。試合の模様は、地上波(NHK、日本テレビ系、フジテレビ)とBSでの中継が予定されており、日本戦は全て地上波で見ることができる。一方、全104試合はスポーツ配信サービス「DAZN」でライブ配信されるが、こちらは有料サービスとなっており、料金表示について物議を醸すなど、騒動に発展した。こうしたケースが浮き彫りになるなか、ゴルフではそもそも地上波での中継が激減していることが問題視されている。
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久常涼が初日首位に立ち、最終日途中には松山英樹が2位に浮上した全米プロゴルフ選手権。だが、日本で見るにはゴルフネットワークか、U-NEXTの配信と、有料のものしかなかった。全米プロに限らず、今年のメジャーのうち、地上波で見られるのはTBSが放送したマスターズのみ。地上波全盛時代から、有料放送、そしてネットと『見る機会』は広がる半面、有料も受け入れるコアなファン以外に裾野が広がりにくいという問題もある。
他のスポーツでも同様なことは起きており、行政にも動きがある。日本代表が連覇を狙った3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)がNetflix独占配信だったことから、松本洋平文科相が4月24日、「幅広く国民に対してスポーツを体験する機会や見る機会が確保されること、これは大変重要なことであります」と発言。WBCなどの主催者に対して書簡を出し、総務省と共に論点を整理して引き続きスポーツ振興に取り組んでいくことを明かした。
「5月中に最初の会合を開きたい。情報が断片的なので、半年くらい放送事業者、スポーツ団体など、色々な人からヒヤリング。秋くらいに論点を整理します」(スポーツ庁民間スポーツ担当)とのことだ。
「スポーツは無料で見られるのが当り前」(NHKには視聴料を払う)という感覚は、地上波全盛期世代にはいまだに根強い。跳ね上がる放映権料をテレビ局が払えなくなり、ネット配信プラットフォームは払える、という現状もある。「口を出すなら(国が)お金も出せ、と言いたい」という業界関係者の本音も聞こえてくる。
ゴルフトーナメントは、構造的に地上波ありきで長年続いてきたが、BSやCS、ネット配信に頼ることが増えている。
JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)の生配信はU-NEXTが扱っている。昨年までWOWOW(有料)が放送していた米女子ツアーも今年から同社が配信。マスターズ以外の男女メジャーを含めた『ワールドゴルフパック』もある。
小林浩美JLPGA会長は「(配信を始めた最初からテレビとの)共存でお願いしている。BSで生中継してくれる主催者が増えて、CSもある。色々な形で見てもらえて、私たちは恵まれていると思います」と語る。
また、JGTO(日本ゴルフツアー機構)は、3月にNSSK(日本産業推進機構)と連携した株式会社ジャパン・プロゴルフツアー(J-Tour)設立を発表し、大きな構造改革に着手。配信、地上波放送も含め「メディアコンテンツの量産、充実」を掲げており、今後の展開が注目されている。
裾野を広げるという意味で「見る機会」を行政も含めて考えることは重要だ。ただ、どこまでが重要とみなされるかはまだわからない。プロスポーツの命であるファンを増やす形について、ゴルフ業界内だけでなく、他スポーツとも併せて議論を深めていくことも必要だろう。(取材・構成/清流舎・小川淳子)