<LPGA Qスクール(予選会)セカンドステージ 最終日◇20日◇プランテーションG&CC(米フロリダ州)◇ボブキャット・コース=6543ヤード・パー72、パンサー・コース=6363ヤード・パー72>
40位タイ(最終的には30位タイまでの41人)までに入った選手が、11月30日~12月5日に行われる最終予選会(Qシリーズ、米アラバマ州)に進めるこのセカンドステージで、日本勢はアマチュアの馬場咲希(代々木高3年)が、トータル5アンダー・15位タイになりそのチケットをつかみ取った。原英莉花失格というアクシデントもあり、日本勢は当初出場した8人のうちわずか1人の突破になったが、4日間を戦ったそれ以下の選手たちにもLPGA行きの道が閉ざされたわけではない。
ポイントとなるのは、このセカンドステージが、LPGAだけでなく下部のエプソンツアーの予選会も兼ねていること。つまりここで敗れても、下部ツアーに出場する目は残されている、というわけだ。
とはいっても“無条件で”とはいかない。セカンドステージの41位タイから80位タイ(実際は42位タイから72位タイ)までの選手は、来季エプソンツアーの『カテゴリーI』という枠に入り、リシャッフルまでの実質的なフル出場権が手に入る。日本勢でいうと、48位タイに入った米オレゴン大在学中のアマチュア・長野未祈(みのり)と、72位タイで終えた24歳の谷田侑里香(ゆりか)がそれにあたる。
実は現在大学4年生の長野は、セカンドステージを突破しても最終予選会に出場することはできなかった。「最終予選会はプロしか出られないのですが、私の場合、大学が(来年)6月まであるので、コーチとの話し合いで最後まで残らないといけない。もし残るのであれば(セカンドステージに)出てもいいよと。それを了承して来ているし、卒業も来春なので、私はそっちを優先しようと思って」というのが、その理由になる。この事情から、長野は目標をカットライン突破よりも「優勝」という“称号”に絞っていた。
ただし、エプソンツアーへの出場権を持っていれば、例えば卒業後に即プロとして参戦するなど選択肢が広がる。「エプソンで上位に行けばそのままLPGAツアーにも出られるので、最終的にはそれを考えてやっていこうと思ってます」と、これにはもともと本人も意欲的だった。現在、長野はスカラーシップ(返済不要の奨学金)をもらい学生生活を送っていることもあり、休学、退学はハードルが高い話。このまま卒業し、そこからプロへ――というのが基本的な道筋になる。
2000年生まれで、古江彩佳、西村優菜らと同じプラチナ世代のひとりは、「来年には日本のプロテストも受けると決めています」とも話す。15歳の時に出場した16年の「日本女子オープン」で3日目終了時に単独トップに立ち大会を盛り上げた“注目アマチュア”とあって、日本ツアー挑戦は楽しみなトピックのひとつになりそうだ。
またこちらも高校の1年間、大学4年間を米国で過ごした谷田は、「家族と相談してから考えます」とここから主戦場にするかどうかを定めていく。21年に卒業後は日本のプロテストを受けてきて、米国予選会は今回が初挑戦だった。その4日間では「ティショットで40ヤード置いていかれても、同じスコアであがれる」という総合力への自信を深めた一方で、「もう少し飛距離は欲しい。オフに体作りを頑張りたい」ともいう。収穫と課題を得た先の決断、これも気になるところだ。
さらに今回83位以下になった選手たちも、エプソンツアーへの出場は可能。だが、ここからは『カテゴリーK』となり、さきほどよりも2ランク下の位置づけ。ここは、どれくらい試合に出られるかは約束されない。試合への出場優先順位は、今回のセカンドステージの結果が左右することになり、順位が下になればなるほど出場できる試合数は少なくなっていく。
エプソンツアーの年間ランキングで10位内に入りLPGAへの道を開くか、はたまたほかの国で再びチャンスを待つのか。ここからは選手たちそれぞれの“選択”になる。(文・間宮輝憲)