<LPGA Qシリーズ(最終予選) 最終日◇10日◇マグノリア・グローブGC(米アラバマ州)◇クロッシングズC=6664ヤード・パー72>
最終18番で8メートルのスライスラインがカップに吸い込まれると、小さくガッツポーズ。馬場咲希の目には涙が浮かんでいた。「打った時からずっと『入れ、入れ!』と思っていた」。バーディフィニッシュでトータル6アンダー・24位タイ。圏内に滑り込み、米国女子ツアーの来季出場権を獲得した。
悪天候による順延のため、最終ラウンドは9番の2打目から再開。フェアウェイからいきなり2メートルにつけたが、左フチに蹴られてバーディ発進を逃した。10番でも2メートルのバーディパットを決められない。
11番パー3では1.5メートルのパットが右を抜け、返しの80センチがカップに蹴られた。「バーディを狙って打ったパットだったので、ボギーになるとは考えていなかった。簡単にボギーを打ってはいけない立場なのに。しんどくて、辛かった」。12番のティショットを打ち終えた後、顔を覆う場面もあり、気落ちしているのは明らかだった。
それでも13番パー5でバーディを奪い返したが、15番では花道から寄せきれずボギー。ボーダーラインに1打及ばない状況で迎えた最終18番で、劇的なエンディングが待っていた。
ホールアウト後、馬場は感極まって言葉にならず、あふれる涙を止められなかった。後続の選手の結果を待つ間、一度ホテルに戻ったが、その部屋でも涙をぬぐい続けた。しかし、出場権獲得が確定し、再びコースに戻ったときには、ようやく笑顔を見せた。
高校3年生で初挑戦した昨年の最終予選会は62位。プロ1年目の今年は“過酷”な米下部のエプソン・ツアーを主戦場に戦い、レギュラーツアー昇格を目指したが目標は果たせなかった。「1つの簡単なボギーで気持ちが揺らいでしまった。エプソンツアーでもこんなに辛いと感じたことはなかった」。2年連続の予選会をこう振り返った。
90ホールを終えた瞬間、頭をよぎったのはこの1年の苦労。「『はあっ…やっと終わったんだ』っていう気持ち。しんどかった」。複雑な感情が絡み合い、心を整理しきれなかった。
「今年は辛いことばかりだった。立て直せずに、次の試合に引きずってしまうこともあった。でも、LPGAに行きたいという気持ちを持ち続けたことが、最後まで諦めずにプレーできた理由だと思う。何回も心が折れかけたけど、最後まで諦めずに(18番で)バーディを獲れて良かった」
来年はついに米国女子ツアーが主戦場となる。「今回のQTで本当にいい経験をした。心が折れかけたところで最後に報われた。出場権を獲得したからには、やるしかない。特訓を積んで、来年はいい形でシーズンを始めたいです」。笑顔で決意を新たにした。(文・笠井あかり)