ロフトの立ったクラブで柔らかい球を打つには、体全体を使ってゆっくり打つ技術が求められる。「彼女は練習の最初に必ず片手練習をするのが日課。力感がない状態で体をゆっくり動かして球を運ぶのはずっとやっていることなので、それが活きていると思う。また今年からトレーナーと契約して、朝の駐車場でバランスボールを体の捻転だけで投げるというトレーニングもしている」。ショットだけでなくアプローチ、パットに及ぶ総合力の向上の裏には、松森が今季こなしてきた地道な取り組みが大きな影響をもたらしている。
■さらなる飛躍のためにあえて…
22歳での初優勝。「今年からトレーナーをつけるなど自分に先行投資を出来ていてプロ意識、向上心もある。2、3年後を見すえることもできているし、人の良いところをじっと観察して盗むという貪欲さも持っていて、さらに強くなっていくことは間違いない」と今後さらに飛躍すると辻村氏は予想する。だが、本人を良く知るからこそあえて忠告したいことがある。
「メンタル的なところで、さらに成長してほしい。調子が悪い試合で投げるクセがあるので、それでは強い選手になっていけない。例えば風邪をひいたコンディションでも、試合に出る以上はその日のコンディションのベストを尽くすことは必要。気持ちが切れた1打は必ず後でしっぺ返しが来る。自分が悪いショットを打たなくてもそういう状況になることもあるので、日々からそういう習慣をつけていってほしいですね」。
松森が将来は米ツアー参戦を夢見ることも知っているからこその提言。「落胆した時に投げた1打を打つのをやめることができれば、さらなる飛躍につながると思う」。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、濱美咲らを指導。今季は上田の出場全試合に帯同し、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。