その「お返し」をしたいという想いを込めて、カークは昨季終了後もハードワークを続け、風変わりな練習にも取り組んできた。「オフの間、いつものクラブは2カ月以上握らず、ずっとレフティ用のクラブで練習し、ラウンドした。ベストスコアは82だった」。
米国のゴルフ解説者たちの話を総合すると、右利きのゴルファーがレフティ用クラブで練習すると「体の左右のバランスを調整する」「スイングリズムをゆったりさせる」「左打ちなどのトラブル対策になる」「忍耐力を醸成する」といった効果が見込めるとのこと。
アルコール依存症のときは3カ月超、今回はレフティ用クラブでの練習で2カ月超。自身のクラブを握らずとも、別の形で心身を鍛え、ゴルフを向上させたカークの歩みは、人生で苦難に遭遇しようとも復活は不可能ではないことを教えてくれているようで、勇気と元気が湧いてくる。
「どんなにプレッシャーがあっても、どんなにナーバスでも、ひたすらいいショット、パットを打つことだけを考えていた。自分を向上させるために努力するプロセスは楽しい。人間を磨き、良き父、良き夫となれるのだと思うと、それだけで楽しい」
新年初戦を飾るにふさわしいチャンピオンの誕生だった。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
