<アジアパシフィックアマチュア選手権 3日目◇28日◇ロイヤル・メルボルンGC(オーストラリア)◇7055ヤード・パー71>
昨日の穏やかなラウンドとは一転。またもや強風が吹いたアジアアマの3日目。コースの難しさも相まって各選手がスコアを落とし、アンダーパーで回ったのはたった3人だけというなか、1イーグル・6バーディ・2ボギーの「65」という驚異的なスコアで首位に駆け上がった選手がいた。
彼の名前はサンプソン・ユンヘ・ジェン(中国)。現在22歳で、コリン・モリカワ(米国)などを輩出したゴルフの名門・カリフォルニア大学バークレー校に通っている。「生まれ育ちは名古屋で、6歳くらいまでいました。そのあとは中国と日本を行ったり来たり」。両親が貿易関係の仕事をしていたため、日本語は堪能なのだ。
「11歳から渡米し、中学で1年だけ日本に帰ってきたときは(高知県の)明徳義塾にいました。コウヘイさんと同級生です」と、昨年の日本アマを制し、中高を明徳義塾で過ごした岡田晃平(東北福祉大4年)との意外な交流関係もある。その後はずっと米国で過ごしているというが、「(岡田の)活躍はチェックしてますし、将来的には日本ツアーにも行きたいと考えています」と明かした。
そんなジェンは、「今日アイアンがとてもよかった。それからパットが入ってくれたのが嬉しい。これだけ風があるとパットにも影響が出るので運もあったと思います」と、ひとり異次元なゴルフを展開した18ホールを振り返る。
「風がこれだけ吹くと、スコアを伸ばすのは難しい。このコンディションのなか、いかに対応してショットできるかが大事になります。今日はスピンをかけたり、(傾斜を使って乗せるために)グリーンの外にしっかり落としたり」と、きちんとマネジメントしたことがビッグスコアにつながった。
今大会の優勝者には来年の「マスターズ」と「全英オープン」への出場権が与えられる。「プレッシャーももちろんありますが、リードしている以上勝ちたいです。今日と同じくらいのプレーができたらうれしいです。あとはピン次第だと思います」。後続に4打差をつけた残り18ホール、日本に縁のあるプレーヤーの活躍にも注目だ。(文・杉本夏希)