稲見選手をはじめとする若手は、落ち着きがすごい
ちょうど東京五輪の女子ゴルフで銀メダルを獲ったあとの稲見選手のプレーを「CAT Ladies」でじっくり見る機会がありました。この試合にはテレビ中継のラウンドリポーターとして会場にいたのですが、最終日を単独首位で迎えながら勝てなかった悔しい表情が今も記憶に残っています。
稲見選手をはじめとする同世代の選手たちは、プレー中の落ち着きがすごいというのが一つあります。2001年生まれの西郷真央選手も19歳に見えない冷静さがあります。表情を見ても焦りや動揺は中々見えませんし、メンタルの強さもプレーから感じ取ることができます。
先輩選手にも物怖じせず、のびのびと楽しくできている
ゴルフは個人競技なので“自己中”になるほどいいと私は考えていて、強くなるにはある意味、“自分よがり”であることの要素がすごく大事になります。それを若い選手たちはすでに持っているなと感じることが多いです。
どうしても私の時代と比較してしまうのですが、当時は先輩が怖くて、おどおどしていた所がありました。上下関係の厳しさもそうです。試合会場に行くと、そういう部分に気を使ってしまうのはありました。今もそうした先輩・後輩の関係がないわけではありませんが、会場で選手の練習風景を見ていても、かつての雰囲気はほぼなくなりつつあると感じます。
のびのびと楽しくやっている感じがありますよね。それが今の若い選手たちの良さでもあり、物怖じしない強さの一因になっているのかなと思います。
稲見選手はアイアンのラインも距離感も合っていた
技術的にもレベルアップしているのは確かです。海外メジャーで勝つ選手が増えたり、黙々と練習に取り組む姿勢を見せられると、間違いなく刺激になりますし、相乗効果でどんどんレベルアップしているのでしょう。
稲見選手のゴルフですが、ショットを見てもリズムが変わらないですし、アイアンが特に上手い。それに無理して振っていないのもポイント。しっかりとラインが出ていましたし、タテの距離感も合っていたので、バーディチャンスにもつきやすい。今年はその距離感がすごく合っているからこそ、ここまで結果を残せているのではないかと感じました。
ただし経験上、距離感は毎年変わってくるものなので、そこをうまく調整しながら戦い続けることができれば、稲見選手は勝ち続けられると思います。二桁優勝という目標を掲げているというので、どこまで勝ち星を挙げられるか注目していきたいです。
もりた・りかこ 1990年1月8日生まれ。京都府京都市出身。ツアー通算7勝。08年にプロ入りし、10年の「樋口久子IDC大塚家具レディス」でツアー初優勝。13年には年間4勝を挙げ、23歳で賞金女王に輝いた。18年を最後にツアーから撤退し、現在はゴルフウェアのプロデュースや、ゴルフ中継の解説などで活躍している。