昨年の今頃は対立姿勢を崩さなかった米PGAツアーだったが、サウジアラビアの政府系ファンド「PIF」がバックアップする「LIVゴルフ」との提携が発表されたことにより、方々で議論や波紋を呼んでいる。
PGAツアーのジェイ・モナハン会長は昨年、「サウジマネーを受け取った者はPGAツアーには戻れない」と語気を強めた。LIVに移籍した選手は、PGAツアーのメンバー資格をはく奪。そんないきさつがあっただけに、PGAツアーに残った選手たちにとっては、今回の提携はおもしろいはずがない。
米国東部時間6日午前10時に発表されたLIVゴルフ、PGAツアー、DPワールド(欧州)ツアーの提携。選手や関係者にとっても寝耳に水の発表となった。PGAツアー会場を訪れたモナハン会長は選手とのミーティングを開き説明を行っているが、「偽善者」の言葉を投げられたと報道されている。
モナハン会長は「そのときにもっとも適切な決断と発言をしてきたつもりだが、そう言われても仕方ない」と、当初の対立から考えが変わってきたことを認めた。
PGAツアーの発表では、LIV移籍組は2024年シーズンからの復帰の可能性を探るという。出場資格の決定プロセスなどは今後の課題としたが、大金を提示されても移籍しなかったPGAツアーメンバーにとっては、不信感が募る結果となってしまった。
今回の提携話はゴルフの発展をにらんでのこと。そう発表されても、裏で動いたビッグマネーを考えれば、キレイに決着するのかはまだ分からない。とはいえ、サウジの潤沢な資金にPGAツアーが屈したという見方が、米国内の報道では大半を占めている。(文・高桑均)