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渋野日向子・栄光への72ホール

昨年大会で日本勢として42年ぶりに海外女子メジャー制覇を成し遂げた渋野日向子は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会中止が相次いだことから今大会が自身初の“ディフェンディングチャンピオン”としての戦いとなる。そこで大会を前に“スマイル・シンデレラ”が誕生した、昨年大会の72ホールを振り返る!

配信日時:2020年8月19日 13時10分

ワンオンチャレンジに壁ドンパット “しぶこ”らしさが詰まったウイニングロード【最終日】

3日目にしてようやくつかんだ単独首位。偉業に向けて最高の位置につけても、本人はどこ吹く風といった感じで「おはようございまーす!めっちゃ寝れました」とスタート約2時間前に元気に会場入り。緊張とは無縁のスマイルを見せた。

2位に2打差をつけて、アシュレー・ブハイ(南アフリカ)と2サムでスタートした最後の18ホール。ピンチはいきなり訪れる。これまでボギーすらなかったパー4でまさかの4パット。ダブルボギーを叩き2位に後退。少し表情は曇ったが、子供とハイタッチして次のホールへと向かう。

ここからはブハイとの一進一退の攻防に。5番でこの日初バーディを奪い再び単独首位に立ったが、6番で並ばれる。7番でまた1つ抜けたが、8番のボギーでまたしても2位に後退。9番でもバーディは奪えず、トータル13アンダーの3位タイに後退。首位にトータル15アンダーのリゼット・サラス(米国)、1打差の2位に今季メジャー2勝のコ・ジンヨン(韓国)と別の組の2人に抜かれて折り返した。

それでもサンデーバックナインの主役はシンデレラだった。10番で5mをねじ込みバーディとすると、12番253ヤードでは果敢にドライバーを握りワンオンに成功。2パットで沈めて、大きな拍手とともに1打差に迫った。さらには次の13番でもバーディを奪っていよいよ首位に並ぶ。

こうなればもう勢いは止まらない。次の14番で再び離されたが15番ですぐさま追いつくと、トップのサラスと並んで迎えた18番。残り5mを今なお語り継がれる強気の“壁ドン”パットでねじ込み優勝。涙はなく最高のスマイルで右手を高々と天へと突きあげた。

泣かなかった理由について、ホールアウト後に「鳥肌が立ちすぎて、言葉にできないです。試合が終わってから緊張してきました。泣きそうになったけど、結局涙が出ませんでした(笑)」と話した渋野。表彰式のスピーチでは“カタカナ”で書かれたカンペに詰まるシーンもあったが、そこは持ち前の笑顔でカバー。スマイルシンデレラらしいハッピーエンドとなった。

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