パターよりも球足が強くなるユーティリティのアプローチは、畑岡にとって珍しいプレーではないが、国内女子ツアーでやる選手はほぼいない。米国女子ツアーの難しいセッティングで戦っていくうえで、必要な技術といっていい。
「アメリカで戦っていれば、アプローチの引き出しが増えていくと思いますが、そこには本人の感度も大事になってきます。この場面ではこういう技が必要だな、そのためにはこういう練習が必要だな、というのが的確にわかって実行できるかです。あの10番のアプローチを見ても、畑岡選手はそれができている」
■悲願のメジャー制覇へ「足りないものは何もない」 あと必要なのは…
世界最高峰の米国女子ツアーで、しかもメジャーという舞台。畑岡が活躍できたのは、何が優れていたのか。石井は『環境的な対応力』と『状況的な対応力』を挙げる。
「環境的というのはボールのライや風向き。状況的というのは自分の位置を把握しながらプレーしているということです。米国では全部攻めても上手くいきません。どうしたらいいかわからないときは、刻んだり、ピンを避けて狙う判断で一歩下がる。そして、ピンを狙えるところはしっかり狙う。その『押し引き』のバランスがかなり優れていて、ゴルフがすごく成熟している感じがしました」