日本勢15人が主戦場にする今季の米国女子ツアー。昨年は6人の日本人選手が優勝(計7勝)するなど盛り上がりを見せている。その舞台を目指し、下部のエプソン・ツアーで3年目のシーズンを迎える日本選手がいる。27歳の谷田侑里香だ。すでにツアーは3月にフロリダ州での3連戦で開幕。ここまで谷田は2試合に出場し48位、53位という結果で滑り出した。充実のオフの様子や、米国での活躍、そして日本のプロテスト合格への期する思いを聞いた。(取材・構成/間宮輝憲、取材協力/ニューツルミゴルフ練習場)
■クラブの見直しなど万全の状態を目指したオフ
―今季開幕に向けて取り組んできたこと
「このオフは、すごくいろいろなものを変えました。例えばクラブセッティングや、トレーニング、そしてスイングも少し修正をして。また新たな自分で挑戦できることがすごく楽しみ。スイング面は基礎的な部分がメーンなんですけど、クラブを効率よく使うための動きを目指して、フォロースルーなど、全体的に少しずつ変えました。(拠点にする)ニューツルミゴルフ練習場のアプローチ、パター練習場を活用して、ショートゲームを磨くこともできました。(開幕前時点で)70~80%ぐらいまではきています」
―トレーニングも、これまでとはメニューを一新した
「去年のシーズン中もトレーナーからメニューをいただいていたけれど、疲れが出てしまって取り組めなかった部分があった。現状維持を目的にしてたのですが、それも難しかったですね。それもあり、このオフは、トレーニングをメーンにやっていこうと決めていました。一番ここには気も時間も使って。週3、4回はしっかりと時間を取って向き合い、筋量を増やすもの、パワー系や、スピードをそこに加えるメニューもこなして、上半身、下半身、体幹と全体的に鍛えました」
―クラブの見直しは
「ウッド系をコブラさんで統一して、シャフトも見直しました。特にアイアンの当たりが薄いことを感じていたのですが、(原因は)スイングだけではないのかなと思い、それをきっかけにフィッティングを受けたら、アイアンのシャフトが少し合ってないと言われて。そこから全部見直すことになりました。アイアンのシャフトは2~3年ほど使っていて、少しクセがあるものでした。新しいのは(スイングを)サポートしてくれるようなもので、素直な球が出る印象です」
―実際に試合でクラブを使ってみた感触は
「開幕の2試合では昨年までずっと使っていた5番アイアンを抜いて、6番UTを入れたのですが、高さも出るし、コントロール性も上がりました。グリーンでも止まるし、なによりやさしいですよね。今後もコースによってセッティングを考えられるので、幅も広がりました。コブラさんの新しいドライバーも、曲がりが少ないし、飛距離も伸びました。オフのトレーニングの成果も加味して、そう実感できています」
―オフ期間は当初やりたかったこともうまく進んだ印象
「自分が決めていた目標は全部達成できたかなと思っています」
■周囲の言葉で前向きになった気持ち
―昨季から今年を迎えるにあたり、変化した部分は
「一番は結果を出したいという気持ちが強くなりました。去年はすごく残念な結果になってしまったので、今年も同じような思いはしたくないという気持ちでこのオフに臨みましたし、それがモチベーションにもなり、冬を乗り切ることができました。結果を求めていきたいです」
―苦しかった昨シーズンを、どう分析しているか
「今考えると、スイングの悪いクセが全面的に出て、それを自分ひとりでシーズン中に修正することができなかった。トレーニングも準備不足だったと思っています。全体的に足りなかった。ただ、オフに、そこを修正してトレーニングもこなしました。クラブセッティングを見直すこともできたし、それもだいぶ自分に合ってきたと思っています」
―これまでのオフとは取り組みにも、また精神的な部分でも大きな変化を感じる
「去年は残念なシーズンになってしまったし、日本の(最終)プロテストも3日目でカットになり、なんて言えばいいんだろう…、シーズン終盤はかなり気持ちも悲しく、辛くなっていました。オフになったら一度ゴルフを休もうかなって思うぐらいまで追い詰められていました。それでも日本に帰ってきて、シーズン最後の最終プロテストが終わると、コーチは新しい課題に一緒に向き合おうと言ってくれたし、トレーナーも、一緒に頑張ろうと言ってくれて、それに驚きがありました。
自分のなかでは最終テストはすごく悪い終わり方で、『ダメだった』という結果に意識が向いていました。でもコーチやトレーナーは、結果というよりも、プレーの中身や改善点をすでに見ていて、すぐに次の課題を提示してくれました。その切り替えの早さに最初は驚いたのですが、それだけ自分にまだ伸びる余地があると見てくれていると感じました。今はその期待に応えられるように、前向きに取り組みたいと思っています。
コーチ、トレーナー、そしてスポンサーの方々も、みんなで支えてくれ、頑張ろうって思えました。2026年はもっといい年になるからと、いろんな方に応援していただける。そういう言葉は大きかったですね。みんなが前を向いて一緒にやってくださるおかげで、シーズンが楽しみになりました」
―谷田選手の周りには、すごくポジティブな言葉をかけてくれる人が多い
「これまでのオフになかったものは、昨年のような苦しい思い。こういう辛い思いを、もうしないようにという気持ちはモチベーションになっています。もっと楽しくプレーをしたいという純粋な思いがあり、そのためにもオフは自分に厳しくやってきたつもり。シーズン中に楽しめるように頑張っている状況で、それによってすごくゴルフに対する覚悟も変わったのかなと思います。
この2年間は楽しい時間もあったけど、苦しい思い出の方が多い。でも、自分にとっては何一つ無駄な時間はなかったなと思っていて、そんなギリギリの戦いで、周りの方に支えられているということをより強く実感できました。みなさんの力が支えになってプレーできるので、私は幸せ。本当にそこに尽きます」
■LPGAツアー昇格と日本のプロテスト合格を目指す
―3年目のシーズン。慣れた部分もでてきた
「新しい大会のコースは分からないですけど、それ以外のコースはだいたい頭に入っています。アメリカでの生活や移動は理不尽なことも多いし、コントロールできないことばかり。ただ、慣れってすごいなとも思っていて、落ち着いて対処できるようになったのかなとも思っています。他の選手に会えるのもすごく楽しみでしたし、みんな同じ経験を味わってきていると思う。刺激を受ける仲間でもありますし、一緒に頑張っていきたいですね」
―エプソン・ツアーの認知度も高まっている
「馬場咲希さんや、昨年は原英莉花さんも出ていて、日本での認知度の高まりも実感しています。それは私にとってもすごくチャンスだと思う。しっかり成績を残して、名前を覚えてもらいたいなと思います」
―実際に2試合プレーしてみて感触は
「3月の2試合では、やってきたことができていた部分と、まだ足りない部分を把握することができました。去年はショートパットでも苦戦したのですが、パターの長さを変えたり、オフの練習量を増やしたことで、イメージもかなり良くなって、バーディの数も増えました。一方で、150ヤード前後の安定感は課題。その距離からのボギーが多かった。6番、7番などミドル以上のクラブを練習する必要性を痛感しています。ドライバーの飛距離が伸びたこともあり、2打目の距離が短くなったので、100ヤード以内というのも、空いた期間にやるべきだと思っています」
―当初は出場が厳しいと見込まれた3月の3連戦のうち、2試合に出られたことは大きな意味を持つ
「もともとマンデー(主催者推薦選考会)を受けようとしていたのですが、(シーズンの)2試合目は、その前日に繰り上げ(出場)が決まって、次の試合も入ることができました。この2試合がなかったら、初戦が4月末になっていたし、修正もできなかった。出られて良かったです」
―次の試合で意識する点は
「まずはパーオン率を上げて、パー5でのバーディを増やせるように。結果的に、前の2試合では予選は通過しましたが、最終日に順位を上げることができなかった。3日目に上げられるように。フロリダのコースから、次(カリフォルニア州)は芝が変わり、ラフもねちっこい。グリーン周りやアプローチに気を付けて、そこを練習していきたいです」
―今季の目標
「すごく大事な年になると思っています。下部ツアーは長くいる場所ではないですし、しっかり成績を残して、(ポイントランキング上位15位までに入り)上のツアーに行きたいです。日本のプロテストも、(昨年、最終まで進んだ権利で)今年は2次からになる。そこに向けても頑張ります。 去年は(テストを受けるため)2カ月の間に2回、日本に帰ってきました。それが今年は1回だけになるので、アドバンテージにもなります。アメリカからこまめに帰ってくるのは、やっぱり大変でした。日本のテストは重要だと考えているので、今年はエプソン・ツアーとのスケジュールを詰め込みすぎず、余裕を持って調整しながら臨みたいと思っています。今年の目標は(エプソンで)トップ15に入ること。そしてプロテストに合格することの2つです」
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下部ツアーのフル出場権を持って臨んだ昨シーズンは、19試合に出場し予選通過は8試合と苦しい時間を過ごした。ポイントランキング95位という結果に終わったが、ここからはフル出場できることが見込まれる。目指すところは変わらない。次の試合は24~26日に行われる「IOA選手権」(カルフォルニア州)。“石の上にも3年”という言葉もあるが、昨年の悔しさも糧に、27歳は挑戦の歩みを進めていく。
