<前澤杯 2日目◇24日◇MZ GOLF CLUB(千葉県)◇6652ヤード・パー72>
「車が大好きです」。そう話すのは、ツアー通算2勝の36歳・藤本佳則だ。雨の中で「64」をマークした初日も、気がかりだったのはプレーだけではなかった。「雨に濡れて大丈夫かなって、ずっと思っていた。ボディカバーしたほうがいいんちゃうかなって」。会場に展示されている“前澤コレクション”の高級車が気になって仕方がなかった。
会場にはフェラーリ創業者の名を冠した伝説の一台『フェラーリ・エンツォ 』(市場価格約7億円)や、世界最速クラスの性能を誇るハイパーEV(電気自動車)の『リマック・ネヴェーラ』(同約6億円)、世界限定125台となる究極のハイパーカー『ケーニグセグ・ジェスコ』(同約6億円)、世界に一台のビスポークモデル『ロールス・ロイス「オリベ・ファントム」』(同約3.6億円)など、総額35億円に及ぶ名車が並ぶ。来場した観客たちも目を光らせている。
ベテランも、これを見る時は「全部好きです。タイヤが4つついていたら好きなので」と冗談を交えつつ、少年のような表情に。「0が1つ多い。僕らが目指すのは数千万円(の車)ですけど、これは億ですから」とスケールの違いには目を丸くする。「欲しいよ。見られるだけでもすごい」と目を輝かせた。
そんな“夢のような舞台”では、プレーで存在感を示している。初日は2位発進。風が吹いた2日目は「(風の読みが)難しかった」としながらも、1イーグル・2バーディ・1ボギーの「69」でまとめ、トータル11アンダー・7位タイと上位をキープした。好調の要因はスイングの改善。「練習でできて、試合でどうなるかというのはまた別。それが試合でなんとなく結果が出ているので、それが1番良くなった要因」と手応えを口にする。
ラウンド後は「あまり練習をしないタイプ」とも言うが、ホールアウト後はクラブを数本だけ持って練習場に向かい調整。午後2時前には会場を後にしたのだが、取材の際『この後、何をする?』 と、問われると「今週は皆本くんがキャディをしてくれているので、練習場に行って、彼の練習に付き合います」と明かした。
皆本くんとは、今週の相棒を務める東北福祉大時代の後輩で、ツアー未勝利の34歳・皆本祐介のこと。「彼も選手で試合があるしね。1週間、練習しなかったらよくない。なので、(キャディを)やってくれる時は一緒に練習に行きます」と後輩思いの一面ものぞかせる。そこでは自身の練習はせず、後輩の動きを見ているだけ。「上手いので教えるところはないですけど活躍してほしいので。選手なので、申し訳ない」とも。そこには「こう見えて」と笑う、“やさしい”先輩の姿があった。
藤本は2011年11月にプロ転向。ルーキーイヤーの12年は自身5戦目の「日本ゴルフツアー選手権」で優勝を飾るなど賞金ランキング5位に入った。19年までシードを維持してきたが、20-21年シーズンには賞金0円という苦境も経験。それでも徐々に復調し、再び上位争いに顔を出している。
「優勝争いをしないと、優勝はない」。賞金総額2億円の大会では、勝者が得られるのも4000万円と高額。2013年の「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN Central」以来となる勝利をつかめば、憧れのまなざしを送り続ける高級車にも、一歩近づくことができる。(文・高木彩音)
